劫

劫（こう）とは

劫は、仏教やその他のインド哲学において非常に長い時間を表す単位であり、宇宙の誕生から消滅までを示す重要な概念です。この用語は、サンスクリットの「カルパ」に由来し、その意味と広がりは宗教ごとに異なります。一般的には、1劫を特定の長さの時間で数えることは難しいとされますが、それぞれの宗教は独自の方式で劫を定義しています。

ヒンドゥー教における劫

ヒンドゥー教では、1劫（カルパ）は1000マハーユガに相当し、1マハーユガは4つのユガから構成されています。これらのユガはそれぞれ長さが異なり、合計で43億2000万年に達します。また、1劫はブラフマーの1日に相当し、1劫が終わると世界は火によって破壊され、新たな循環が始まります。ヒンドゥー教の時間概念は、宇宙が無限に繰り返すサイクルを含んでおり、これらのサイクルにおいて14人のマヌが登場します。

ジャイナ教における劫

ジャイナ教では劫の概念も存在しますが、ヒンドゥー教とは異なり、劫の終わりに世界が破壊されるという考えはありません。ジャイナ教では、劫は上昇相と下降相に分かれ、それぞれが6つの期間に細分化されています。また、著名なティールタンカラの誕生と解脱に関する教義も見られるなど、劫の解釈は多様です。

仏教における劫

仏教では、劫には大劫と中劫の2種類があります。大劫は、宇宙の生成、存続、破壊、空の4つの期間にわかれ、特に具体的な時間の長さは定義されていません。中劫は大劫の80分の1とされ、仏教の教えにおける人間の寿命と宇宙の盛衰が密接に関わっています。『法華経』をはじめとする経典にも、劫の概念はさまざまな形で表現されています。

劫の比喩

劫の長さを表すための比喩も数多く存在します。たとえば、「1辺4000里の岩を100年ごとに布でなで続けて、その岩がなくなるまでの時間は劫に満たない」とした話などがあります。これらの比喩は、劫の膨大さを強調するためのものであり、哲学的な思索を促す役割を果たしています。

劫の実用例

「劫」は、非常に長い時間を示す単位としても用いられることがあり、『法華経』のような経典においては、その長さの象徴として多くの例が示されています。また、道教にもこの概念は取り入れられ、宇宙の循環と災害の関連付けが行われています。さらに、日常生活の中でも「億劫」「永劫」という言葉が使われ、非常に長大な時間を表現することに用いられています。

結論

劫は宗教的な視点から見た宇宙の時間に関する理解を深めるための重要な概念です。それぞれの宗教で異なる解釈や意味を持つことから、劫についての学びは多様性に富んでおり、私たちの宇宙観に新たな視点をもたらします。

もう一度検索