労働党 (イギリス)

労働党 (Labour Party)

概要

労働党は、イギリスにおける中道左派政党で、社会民主主義を基盤としています。保守党と共に二大政党としての地位を確立し、社会保障制度の充実や労働者の権利の向上に取り組んできました。労働者層からの強い支持を受け、長い歴史の中で数回の政権を担当し、最近では2024年7月にキア・スターマーが首相として就任し政権与党となっています。

歴史

結党と初の政権

労働党は1900年に労働代表委員会として誕生し、1906年に労働党へ改称しました。その後、労働者の生活条件の改善を目指す政策を提唱し、失業保険の拡充や社会保障の整備に力を入れてきました。1924年にはラムゼイ・マクドナルドを党首に持つ初の労働党政権を形成しましたが、短命に終わることになりました。続いて1929年から1935年まではマクドナルド政権が誕生し、国営化や関税政策を進めるなどの施策を実施しました。

アトリー政権の時代

1945年、クレメント・アトリー率いる労働党は第二次世界大戦後の総選挙で大勝し、重要産業の国営化と福祉国家の建立に尽力しました。「ゆりかごから墓場まで」という福祉政策の理念がここで形成され、基幹産業の国有化が進みました。この時期に制定された政策はその後のイギリスに大きな影響を与えました。

戦後の苦境と復活

後に1951年総選挙で敗北し、保守党が政権を奪還しましたが、アトリー政権の社会政策は継続されました。しかし、植民地独立や財政の逼迫が影響し、経済的な困難に直面します。この時期、労働党はウィルソンやキャラハンといった首相の下で政権を維持しましたが、1970年代の「不満の冬」により党への信頼が揺らぎました。

ブレア政権の改革

1997年にトニー・ブレアが党首に就任すると、「第三の道」の政策を掲げることで党の路線を刷新しました。ブレアの政策は中道的であったため、労働党は新たに支持を集め、総選挙での地滑り的勝利を収めました。彼の政権下では地方分権や福祉改善が進められましたが、対米追随の外交政策には批判が集まりました。

野党転落と新たな試み

2007年、ブレアの後を受けてゴードン・ブラウンが党首に就任したものの、不祥事や経済問題に右往左往し、2010年の総選挙では大敗を喫しました。その後、エド・ミリバンドが党首として党の立て直しに奮闘しましたが、2015年の選挙で再び苦境に立たされました。

コービン政権とスターマー政権

党首に選出されたジェレミー・コービンは党員の支持を受けて再生を図りましたが、2019年の大選では大敗を喫し、コービンは辞任。続いてキア・スターマーが新党首に選ばれ、労働党は経済政策を軟化させ、中道路線に回帰しました。2024年7月、スターマーは保守党政権から政権奪還を果たしました。

支援団体と支持基盤

労働党は長年にわたり労働組合からの強い支持を受けています。特に都市部では若年層や低所得者層から支持される一方で、スコットランドなどでは民族主義政党の台頭に苦しんでいます。最近では経済政策の柔軟性が求められ、支持基盤の拡大が課題となっています。

結論

労働党はイギリス政治における重要な存在であり、戦後の福祉国家の形成に寄与してきました。政権や政策の変遷を経ながらも、国民の信頼を回復しようとする努力を続けています。

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