労働党 (リトアニア)

リトアニア労働党：激動の歩みと変遷

リトアニア労働党 (Darbo partija, DP) は、2003年に設立されたリトアニアの政党です。ロシア系リトアニア人実業家で、当時無所属の地方議員だったヴィクトル・ウスパスキフによって創設されました。設立当初から農村部やロシア系住民層からの支持を集め、2004年の欧州議会議員選挙と国会議員選挙で圧勝。躍進を遂げました。

設立と初期の成功

2003年10月18日に設立され、同年11月25日に正式に登録された労働党は、設立翌年の選挙で目覚ましい結果を出しました。2004年の欧州議会議員選挙では得票率30.2％で第一党となり、リトアニアの議席13のうち5議席を獲得。同年の国会議員選挙でも28.4％の得票率で第一党となり、141議席中39議席を手にしました。この結果を受け、社会民主党、新連合（社会自由党）と共に、アルギルダス・ブラザウスカス内閣を樹立。政権を担うことになります。

ポピュリズムから中道左派へ、そして混乱

当初はポピュリスト的な政策を掲げていた労働党でしたが、連立政権に加わると次第に中道左派へと政策転換を図りました。しかし、既存政党への挑発的な姿勢は変わらず、2006年には連立を組んでいた新連合が離脱する事態を引き起こしました。

さらに同年、党首ウスパスキフに学歴詐称や汚職疑惑が浮上。彼は一時ロシアへ逃亡し、政権は崩壊。この混乱に乗じて、ウスパスキフへの反感を抱く議員たちが離党し、新たな政党を結成しました。

紆余曲折の選挙戦と党の合併

2008年の国会議員選挙では、青年組織を擁した労働者党と連合を組み、得票率9％で10議席を獲得。しかし、翌年の欧州議会議員選挙では議席数を減らしました。その後、2011年には新連合と合併し、2013年にはリトアニア労働者党と合併、党名を「労働党（労働者）」に変更。党首も交代しました。同年にはキリスト教党と合併し、再び「労働党」に改称しました。

欧州議会議員選挙での成功と国内選挙での苦戦

2014年の欧州議会議員選挙では1議席を獲得し、ウスパスキフが欧州議会議員に返り咲きました。しかし、2016年の国会議員選挙では比例区で議席獲得に必要な得票率5％を下回り、比例代表では議席を獲得できませんでした。小選挙区で2議席を得ましたが、会派結成に必要な議席数に届かず、結果的に党首の辞任を招きました。

党首交代と欧州自由民主同盟党からの離脱

その後も党首は幾度と交代し、2018年にはウスパスキフが再び党首に就任しました。しかし、2021年にはウスパスキフのLGBTに対する差別的な発言が問題視され、労働党は欧州自由民主同盟党を離脱しました。2022年から2024年にかけてアンドリュス・マズロニスが党首を務めましたが、2024年の欧州議会議員選挙で議席を獲得できなかったことを受け、辞任しました。

歴代党首

2003–2006年：ヴィクトル・ウスパスキフ
2006–2007年：ケーストゥティス・ダウクシース
2007–2013年：ヴィクトル・ウスパスキフ
2013年：ヴィータウタス・ガプシース
2013–2015年：ロレタ・グラウジニエネ
2015年：ヴィクトル・ウスパスキフ
2015–2016年：ヴァレンティナス・マズロニス
2016–2017年：ジヴィレ・ピンスクヴィエネ
2017–2018年：シャルーナス・ビルティス
2018–2022年：ヴィクトル・ウスパスキフ
* 2022–2024年：アンドリュス・マズロニス

結論

リトアニア労働党は、設立以来、目覚ましい成功と大きな挫折を経験し、党首交代や政策転換を繰り返しながら、リトアニア政界において重要な役割を果たしてきました。その歴史は、リトアニアの政治状況や社会情勢の変化を反映するものであり、今後の動向も注目に値します。

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