労働局 (琉球政府)

琉球政府労働局

琉球政府労働局は、1954年7月1日の機構改革によって社会局から分離・独立し、労働政策全般を所管する行政機関として発足しました。この機関は、当時の琉球における労働者の権利保護や労働環境の整備を目的として設立され、その後の琉球政府の労働行政において重要な役割を果たしました。

所掌事務

労働局は、多岐にわたる労働関連の事務を管轄していました。以下に1972年5月14日時点での主な所掌事務を列挙します。

労働組合に関すること: 労働者の権利擁護を目的とした労働組合の活動を支援し、円滑な労使関係の構築を促進しました。
労働関係の調整に関すること: 労働争議が発生した場合、公平な立場から調停や仲裁を行い、紛争の早期解決を目指しました。
職業安定に関すること: 失業者の再就職支援や新規求職者の職業紹介を行い、雇用の安定化を図りました。
労働基準に関すること: 労働時間、賃金、解雇など、労働条件に関する基準を定め、労働者の権利を保護しました。
労働保険に関すること: 労働災害保険や雇用保険などの社会保険制度を運営し、労働者の生活を保障しました。
渉外労働に関すること: 海外労働に関する事務を行い、国際的な労働問題に対応しました。
その他労働に関すること: 上記以外にも、労働に関する様々な問題に対応しました。

組織

労働局は、局長をトップに、以下の組織で構成されていました（1972年5月14日時点）。

内部部局

局長直属：労働局全体の運営を統括しました。
総務課: 労働局の庶務、人事、会計などを担当しました。
労政部:
労政課: 労働政策の企画立案、労働組合との連絡調整を行いました。
労働調査課: 労働に関する各種調査や統計分析を実施しました。
職業安定課: 職業紹介、職業指導、職業訓練に関する業務を行いました。
渉外労働課: 海外労働に関する業務を担当しました。
失業保険課: 失業保険の給付に関する業務を行いました。
労働基準部:
労働基準課: 労働基準法に関する業務、労働条件の指導監督を行いました。
婦人少年課: 婦人労働者や年少労働者の保護に関する業務を行いました。
労災補償課: 労働災害保険に関する業務を担当しました。

外局

中央労働委員会: 労働争議のあっせん、調停、仲裁などを行う準司法的な機関です。
公共企業体労働委員会: 公共企業体の労働問題を取り扱う専門機関です。
船員労働委員会: 船員の労働に関する問題を取り扱う専門機関です。

支分部局

公共職業安定所: 各地域における職業紹介や雇用に関するサービスを提供しました。
労働基準監督署: 労働基準法に基づき、事業所への監督指導を行いました。

附属機関

職業訓練所: 労働者の職業能力開発を目的とした職業訓練を実施しました。
労働衛生センター: 労働者の健康管理や労働環境の改善に関する業務を行いました。
内職公共職業補導所: 内職者の職業訓練や相談支援を行いました。

参考文献

照屋栄一『沖縄行政機構変遷史 明治12年～昭和59年』照屋栄一、1984年8月15日。NDLJP:9775065。

関連項目

琉球政府
行政主席

外部リンク

* 沖縄県公文書館

労働局は、琉球政府の労働行政の中核を担い、労働者の権利保護、労働環境の整備、雇用の安定化に大きく貢献しました。その組織構成や所掌事務は、当時の琉球における労働問題を包括的に捉え、解決しようとする姿勢を示しています。

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