動用倉

動用倉（どうようそう）について

動用倉は、古代日本の律令制度において機能していた特別な倉庫を指します。この倉庫は「正税」として知られる、国家に納められる農産物を保管するために設けられたもので、別名「動倉（どうそう）」とも称されます。動用倉は、不動倉と対になる概念として発展しました。

歴史的背景

動用倉の起源は和銅元年、すなわち708年にさかのぼります。この時期に導入された不動穀制度が、動用という概念を生み出すきっかけとなりました。この制度では、田租として納められた穀物が、十分に蓄えられると「不動穀」として扱われたのに対し、検封されなかった穀物が動用として扱われました。動用の穀物は、国司の裁量で非常な支出や賑給等に利用されることができたのです。

動用穀の特性

動用として使われる稲穀は、特に「動用穀」と呼ばれることもあり、検封を経ていない状態で管理されました。これは、非常時のための貴重な資源として広く認識され、国の財政的な柔軟性をもたらす重要な役割を果たしました。また、現存する正税帳の中には、動用として管理されていた粟や酒の記録が残されていることからも、その運用の幅広さがうかがえます。

管理と運用の仕組み

動用倉で管理される穀物は「常鎰（つねかね）」という特別な方法で保管され、主に国の管理者である国司や郡司によって監督されました。このような管理体制により、動用倉は効率的に資源を運用でき、国の緊急支出やさまざまな状況に素早く対応する能力を持っていました。

結論

動用倉は、古代日本の国家運営において重要な役割を担った施設です。正税を納めるための倉庫であると同時に、非常時のための柔軟な資金源として機能しました。その運用の仕組みや管理体制は、当時の日本社会の経済的な基盤を支えていたと言えるでしょう。動用倉の存在は、現代においても歴史的な意義を持ち、律令制の理解に欠かせない要素となっています。

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