勘当の鬼

勘当の鬼

「勘当の鬼」は、12世紀後半に制作された絵巻物であり、現在は福岡市美術館に収蔵されています。この作品は重要文化財として指定されており、松永家から寄贈されたものです。作者は不明ですが、絵巻物の断簡であり、一部の詞書には「勘当の鬼」という呼称が残されています。

この絵巻は、紙本著色の地獄草紙に分類され、東京国立博物館が所蔵する『地獄草紙』や『辟邪絵』の筆者と同一人物ではないかとも言われています。また、同じ絵巻物の一部と考えられる別の断簡（伝寂蓮筆）の年代測定結果は、12世紀後半から13世紀前半の制作を示しています。

内容の概要

物語は、天邪鬼という邪悪な存在が毘沙門天に仕えていたところから始まります。彼は勘当され、忉利天から追放されることになります。この過程で、天邪鬼は天竺にいる僧侶と出会います。僧侶もまた追放された身であり、ふたりは意気投合します。

天邪鬼は僧侶を肩に乗せて歩くと、周囲の人々には浮遊しているように見え、彼らから尊敬を集めることになります。これは天邪鬼の能力によるもので、彼の邪悪な一面が隠れていた瞬間でもあります。しかし、物語の終わりには夜叉神に見つかり、天邪鬼は僧侶を見捨てて逃げ去ります。この場面は、邪悪さが露見した瞬間と捉えられるでしょう。

歴史的背景

「勘当の鬼」は、平安時代末期から鎌倉時代初頭の日本文化を反映した作品です。この時期、日本社会は仏教の影響を受けており、地獄を描いた草紙や宗教的なテーマが重要視されていました。絵巻物は、視覚的な物語として有名で、観る者に対して深いメッセージを伝える手段となっていました。

また、この絵巻物は、人々の信仰や恐怖感を表現しているとも考えられています。天邪鬼が勘当されるという物語は、道徳的な教訓を含んでおり、悪事が良い結果を生まないことを示しています。したがって、制作当初から多くの人々に受け入れられ、語り継がれてきた作品と言えるでしょう。

引用と参考文献

本作品に関する詳細な情報は以下の文献から引用されています。

• - 「地獄草紙断簡（勘当の鬼図）」部分（松永記念館寄贈）福岡美術館蔵（『美術研究』331号　東京国立文化財研究所） 1985年
• - 文化遺産オンライン「文化遺産データベース」（[文化庁]]）

[文化遺産データベース

• - 外部リンク: 紙本著色地獄草紙断簡（勘當の鬼）

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