勝井三雄

勝井三雄 (かつい みつお)

勝井三雄は、日本の戦後から平成時代にかけて活躍したグラフィックデザイナーであり、1931年9月6日生まれ、2019年8月12日に膵がんで亡くなりました。彼は、日本グラフィックデザイン協会（JAGDA）四代目の会長を務め、数多くの賞を受賞したことでも知られています。

生涯

東京都日本橋で生まれた勝井は、1955年に東京教育大学の教育学部芸術学科構成科を卒業しました。翌年には同大学の専攻科を修了し、1956年に味の素に入社しましたが、1961年からはフリーのデザイナーとして独立。その年に勝井デザイン事務所を設立し、同時に東京教育大学にて非常勤講師として教壇に立ちました。1966年には東京造形大学で助教授に就任し、その後も武蔵野美術大学の客員教授を経て教授に至ります。2002年には名誉教授の称号を受け、2009年から2012年にかけてはJAGDAの会長としてその責務を果たしました。

勝井の業界での影響力は大きく、名古屋学芸大学デザイン学科の特別顧問や日本展示学会理事など、多くの役職を歴任しました。また、彼の息子である勝井北斗は、ファッションデザイナーとして活動していることも特筆すべき点です。

業績

勝井三雄は特に幾何学的なパターンを用いたグラフィックデザインで評価を受けており、彩紋彫刻機を使用したギョームパターンがその特徴です。彼のデザインは広範囲にわたり、例えば「現代世界百科事典」のレイアウトにより、国内外のブックデザイン賞を受賞しました。また、大阪万博（1970年）、沖縄海洋博（1975年〜1976年）、つくば科学万博（1985年）の国際博覧会でアートディレクターとしての地位を確立し、1990年の花の万博では公式ポスターやシンボルマークを手掛けるなど、国際的な舞台での活躍も目覚ましいものでした。彼は1990年にDICカラーガイドを監修し、2008年には文部科学省のシンボルマークをデザインしました。

主な受賞

勝井はその功績から数多の賞を受賞しています。1961年に日本宣伝美術会賞を受賞したのを皮切りに、1987年のラハチ国際ポスター・ビエンナーレにおいて最高賞、1990年のメキシコ・ポスタービエンナーレでグランプリ、さらには1994年にワルシャワ国際ポスタービエンナーレの金賞も獲得しました。他にも、芸術選奨文部大臣賞や紫綬褒章、通産大臣デザイン功労者の称号を有し、幅広い評価を受けてきました。また、2005年には「世界で最も美しい本」金文学賞も受賞しています。

著書・共著

彼の知識や視点は書籍としても残されており、『世界のグラフィックデザイン　第6巻エディトリアルデザイン』（講談社）、『現代グラフィックデザイン大系　CG編』（講談社）、さらには『現代デザイン事典』（平凡社）など、多くの著作があります。

作品の収蔵先

勝井三雄の作品は、ニューヨーク近代美術館や富山県立近代美術館、サントリー美術館、川崎市市民ミュージアムなど、名だたる美術館に所蔵されています。彼のデザインは今なお多くの方々に影響を与え続けており、デザイン界における重要な存在であり続けています。

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