勝見庸太郎プロダクション

勝見庸太郎プロダクションの歴史

勝見庸太郎プロダクションは、1926年に京都で設立された映画製作会社です。この会社の特徴は、俳優であり映画監督でもある勝見庸太郎が創設したことです。彼は松竹蒲田撮影所での活動を経て、映画制作の新たな道を切り開くことを決意し、自らのプロダクションを立ち上げました。

設立背景

1926年の初頭、勝見は松竹蒲田撮影所でのトラブルが原因で、撮影所を離れることになりました。しかし、彼は兄の勝見正義と二人三脚で映画制作を行うことを選び、弟の正義がすでにマキノ・プロダクションで監督を務めていたこともあり、彼の理解を得て共同で作品を製作していくこととなりました。これが、勝見庸太郎プロダクションのスタートです。

最初の作品は『恋の丸橋』で、これは勝見自身が監督・脚本・主演を務めたものでした。その作品は15巻に及ぶ大作で、同年11月には強力な配信網を持つマキノ・プロダクションが配給を行いました。このような提携は、勝見庸太郎プロダクションにとって重要な意味を持ち、以後の活動においてもマキノとの関係は不可欠な要素となりました。

映画制作の拡大

1927年、勝見は21歳の無名の青年、八田尚之をプロダクションに加えました。彼の才能を見抜いた勝見は、彼のストーリーを基に映画を制作し、その後八田も脚本家としてデビューを果たします。このように、彼のプロダクションは若手映画人の育成にも力を入れていました。八田とのコラボレーションは、勝見の晩年にわたる重要な関係となったのです。

同年、勝見は様々なジャンルで計6本の映画を制作しましたが、これらの作品は全て弟の正義が監督を務めました。松竹から離れた勝見は、マキノ・プロダクションとの提携により自らの作品を広めることに成功しました。

牧野省三の死とその後

1929年には、牧野省三が亡くなるという大きな出来事がありました。牧野の死後、プロダクションの運営が新体制に移行する中で、勝見と八田の名前は新たな体制に見ることはできませんでした。しかし、八田は以後も持ち味を発揮し、マキノの現代劇を手掛ける主力として活躍しました。

勝見自身も同年中に5本の作品を制作し、そのうち4本を監督しました。1930年には新たな作品『メリケンジャプ』や『海辺のローマンス』が公開されましたが、この活動を最後に彼のプロダクションは実質的に活動を停止しました。

作品の評価と遺産

勝見庸太郎プロダクションが残した作品は、合計25本に及びます。これらの映画は当時の日本映画に重要な位置を占めており、勝見はその才覚によって多くのファンに支持されました。プロダクションの活動期間は短かったものの、その影響力は長く語り継がれることになります。

最後に、勝見は映画界を離れた後、しばらくは表舞台から姿を消しましたが、彼が日本映画の発展に寄与したことは疑う余地がありません。勝見庸太郎プロダクションの歴史は、日本映画史において重要な一章となることでしょう。また、彼のプロダクションからは多くの才能ある映画人が巣立っていきました。

もう一度検索