勤政勲章

勤政勲章

勤政勲章（きんせいくんしょう、朝: 근정훈장）は、大韓民国政府によって授与される栄典の一つです。主に国家や社会のために献身的に職務を遂行し、顕著な功績を残した公務員や教育関係者などに贈られます。

創設と歴史

この勲章は、1952年1月15日に大統領令第586号「素星勲章令」に基づいて「素星勲章」（そせいくんしょう、朝: 소성훈장）として制定されました。その後、勲章に関する法制度が整備され、1963年12月14日からは賞勲法によってその根拠が規定されています。現在の「勤政勲章」という名称に改められたのは、1967年1月16日の賞勲法改正によるものです。

授与対象

勤政勲章の授与対象者は、賞勲法第14条に明確に定められています。具体的には、「公務員、私立学校教員または別定郵便局員としてその職務に精励して功績が明確な者」に対して授与されます。この勲章は非常に多くの人々に授与されており、例えば2019年に韓国政府が授与した勲章総数19,202件のうち、実に86.5%にあたる16,619件が勤政勲章であったことが報告されています。これは、韓国社会において勤政勲章が公務や教育分野での功績を称える主要な手段であることを示しています。

等級

勤政勲章は全部で5つの等級に分かれています。各等級の名称は、賞勲法施行令第11条によって規定されています。創設当初の1952年には、青条（청조）、黄条（황조）、紅条（홍조）、緑条（녹조）の4等級でスタートしましたが、1963年に賞勲法が制定された際に、玉条（옥조）等級が追加され、現在の5等級体制となりました。等級は上位から順に、青条勤政勲章、黄条勤政勲章、紅条勤政勲章、緑条勤政勲章、玉条勤政勲章と呼ばれます。

また、勤政勲章の下位には、賞勲法第23条で定められている「勤政褒章（きんせいほうしょう、朝: 근정포장）」という栄典も存在します。

章飾のデザイン

勤政勲章の各等級における章飾のデザインは、賞勲法施行令第13条に細かく規定されています。基本的なセットは、章と綬（リボン）からなる「正章」、それに「襟章」と「略綬」で構成されます。さらに、上位2等級である青条章と黄条章には「副章」も加わります。

章そのもののデザインは、表面の中央に配置された紅色の玉円板に、韓国の国花である無窮花（ムクゲ）があしらわれ、そこから六稜形の太陽光線が広がり、さらにその上に三稜の赤い線が重ねられています。正章の章上部には、瑞雲と竜頭が一対になった鈕（ちゅう、章と綬をつなぐ部分）が付けられています。

綬の色は全体的に橙色を基調としており、その両端に赤い線が入っています。玉条章から黄条章にかけては、この赤い細線が等級が上がるごとに1本ずつ増えていきます。しかし、最上位の青条章の大綬だけは無地（赤い線が入らない）となり、略綬には太い赤線が1本入ります。このように、綬の色や線の本数（と太さ）によって、等級が区別される仕組みです。

勲章の佩用方法（身につけ方）も等級ごとに異なります。最上位の青条章は、右肩から斜めに大綬をかけて佩用する「大綬章」です。黄条章と紅条章は、喉元に綬を結んで佩用する「中綬章」となります。緑条章と玉条章は、左胸にロゼット（円形の飾り）が付いた小綬を付けて佩用する「小綬章」です。上位2等級に付属する副章は、いずれも左胸に佩用する星形の章（「星章」）です。

下位の勤政褒章も、緑条章や玉条章と同じロゼット付きの小綬章ですが、金属部分は銀色となり、綬の中央に赤い線が1本入る点が勤政勲章とは異なります。

なお、かつて青条章には女性用の章飾として男性用よりも小さな寸法が規定されていましたが、2015年12月31日の賞勲法施行令改正により、寸法に関する性別の区別は廃止され、男性用と同じ寸法に統合されました。

これらのデザインと規定は、韓国政府の行政安全部や国家記録院などの公式資料で確認することができます。

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