女性化乳房

女性化乳房とは

女性化乳房（じょせいかにゅうぼう、英: Gynecomastia）は、男性の胸部が女性のように肥大する状態を指します。この疾患では、乳房が隆起し、乳首や乳輪も変化することがあります。また、まれに乳汁が分泌されることもありますが、その程度は個々によって異なります。この病状は「女性化乳腺」とも呼ばれます。

症状

女性化乳房の症状は、女性の乳房の発達に似ており、乳腺の成長に起因します。乳首周辺にしこりができることがあり、これが痛みを引き起こすため、乳癌と混同されることもあります。特に思春期の男子にはこの症状が見られることが多く、乳房の大きさが女子のタナー段階IIIと同程度になることすらあります。このような現象は、思春期初期における女性ホルモンの相対的な増加によるもので、男性ホルモンの分泌が後に増えることで1〜2年以内に自然に改善されることが一般的です。

男性は運動時に乳房の動きが気になることがあり、ブラジャーを使用する必要が生じる場合もあります。特に思春期の男子以降は、メンズブラの着用や、アンダーバストに制約がないタンクトップやハーフトップを選ぶことがあります。

原因

女性化乳房の主な原因は、ホルモンバランスの乱れにあります。以下にいくつかの要因を挙げます。

ホルモンの不均衡

• - 肝機能の低下: 男性でも女性ホルモンは存在し、通常は肝臓で処理されますが、肝機能が低下するとこのホルモンが増えることがあります。
• - 薬剤の影響: 一部の薬剤は女性ホルモンに似た作用を持ち、特に抗精神病薬や前立腺疾患治療薬が該当します。
• - 男性ホルモンや女性ホルモンの過剰投与: ドーピングによって男性ホルモンが女性ホルモンに変わることや、女性ホルモンを過剰に摂取することも原因です。
• - 思春期や更年期の影響: ホルモンのバランスが変わることがあります。
• - 脳腫瘍の影響: 脳内の部位によってはプロラクチンが増加し、女性化乳房を引き起こすことがあります。
• - その他の要因: 遺伝的要因や、特発性の場合もあります。特発性女性化乳房は、ホルモンの明確な乱れが確認できないにも関わらず男性の乳房が大きくなる現象です。

治療法

女性化乳房が改善しない場合、手術による治療が考慮されます。この手術では乳輪の半周を切開し、乳腺および脂肪を取り除く方法が一般的です。美容整形外科では、部分麻酔のもと日帰りで行われることが多いですが、大規模な病院では全身麻酔が必要な場合もあり、入院が求められることがあります。手術後には腫れが生じることもありますが、数週間で引くことが通常です。

偽性女性化乳房

另外、皮下脂肪による乳房の肥大を「偽性女性化乳房」と呼び、主に脂肪吸引等で治療されます。一方で、乳腺の発達が原因のものは「真性女性化乳房」と呼ばれ、乳腺切除が行われます。また、両者が混在する混合タイプの症例も存在します。

このように、女性化乳房には様々な要因が考えられますが、正確な診断と適切な対応が求められます。

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