北アメリカ航空宇宙防衛司令部

北アメリカ航空宇宙防衛司令部（NORAD）

北アメリカ航空宇宙防衛司令部（NORAD）は、アメリカ合衆国とカナダが共同で運営する連合防衛組織であり、北アメリカの航空や宇宙に関して危険を早期に発見し、監視することを目的としています。1958年5月に設立されたNORADは、既存の大陸防空司令部（CONAD）を改組した形で誕生しました。

指揮系統

NORADは、アメリカ合衆国大統領とカナダ首相が共同で指揮を行います。司令本部はコロラド州コロラドスプリングスに位置し、2006年からはピーターソン宇宙軍基地に置かれています。また、地下司令部はシャイアン・マウンテン空軍基地にあり、地域ごとに設けられた管区が監視を担当しています。

具体的には、アラスカ管区、アメリカ本土管区、カナダ管区の3つの管区があり、それぞれの指揮所はエルメンドルフ空軍基地、ティンダル空軍基地、ウィニペグ空軍基地に所在します。通常、NORADの司令官はアメリカ北方軍（USNORTHCOM）の司令官が兼任し、副司令官はカナダ空軍の高官が務めています。 NORADは国土安全保障省と直接の指揮関係はありませんが、両方の機関は日常的に危機管理の対策を協議しています。

サンタクロースの追跡

NORADはクリスマスの時期になると「ノーラッド・トラックス・サンタ」プログラムを実施します。この伝統は1955年に始まり、子供たちがサンタクロースを追跡するためのユニークなサービスとして知られています。起源は、コロラドの百貨店が誤った電話番号を広告に載せたことにあります。この番号がCONADのホットラインだったため、司令官が電話を受けた子供に対して「サンタがレーダーで確認できる」と回答したのがきっかけです。

以降、1998年からクリスマス・イヴにはサンタの出発をレーダーで確認し、飛行を偵察衛星やイージス艦で追跡する活動が実施されています。サンタをエスコートする戦闘機が姿を見せ、全国の子供たちがサンタの旅を楽しむ様子が報告されます。

インターネットの普及に伴い、NORADは公式ウェブサイトを通じてサンタ追跡の状況を動画で中継することができるようになりました。例えば、日本地域の中継ではサンタの速度を新幹線と比較し、その速さが新幹線の100倍に相当するといったユーモラスな報告も行われています。また、Googleを初めとした企業と連携し、サンタの位置情報をリアルタイムで表示するサービスが提供されています。

フィクションとNORAD

NORADは数多くの映画やテレビドラマでも取り上げられています。例えば、映画『ウォー・ゲーム』では、主人公がハッキングする戦略防衛シミュレーションコンピュータがNORADの地下司令部に設置されていると描かれています。また、『スターゲイト SG-1』や『インデペンデンス・デイ』などの作品でもNORADがストーリーの一部として利用されています。そのようなフィクションは、NORADのイメージを一般に広げる一因にもなっており、さまざまなメディアでの取り上げがその存在感を強めています。

まとめ

北アメリカ航空宇宙防衛司令部（NORAD）は、アメリカとカナダの共同防衛組織として、地域の安全保障を担う重要な役割を果たしています。サンタクロースの追跡活動は、一般に親しまれ、コミュニティ同士の絆を深めるユニークな存在となっています。そして、NORADの活動は多様なメディアでも描かれており、さらなる認知度を高めています。このような背景をもとに、NORADは冷戦時代から続く防衛機関としての使命を現代に引き継いでいます。

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