クバーニ

クバーニは、ウクライナ語、ロシア語、アディゲ語でそれぞれ異なる表記を持つ、歴史的に重要な地域です。クバーニ川流域を中心に、現在のロシア連邦のクラスノダール地方、アディゲ共和国、スターヴロポリ地方、ロストフ州、カラチャイ・チェルケス共和国にまたがる地域を指します。日本語では、クバン、クバニなどとも表記されます。

この地は、ザポロージエ・コサックから派生したクバーニ・コサックの根拠地として知られています。ロシア帝国に併合された後はクバーニ州が設置され、ロシア革命後にはクバーニ人民共和国やクバーニ＝黒海ソビエト共和国が建国されるなど、歴史の変遷の中で様々な政治的動きがありました。

歴史

古代
紀元前6世紀頃、レスボス島からのギリシャ人によってヘルモナッサが建設され、紀元前5世紀頃にはボスポロス王国の一部となりました。6世紀頃には、ボスポロス王国がビザンツ帝国の支配下に入りました。この頃、ドニプロ地方からルーシ族が現れ、965年にはトムタラカンを占領し、トムタラカン公国を建国しました。

山岳地方からはカソーグ人がドニプロ川流域に移住し、現在のチェルカースィの基礎を築きました。カソーグ人は現代のチェルケス人に近い種族で、古代のトムタラカンの住民の子孫であり、後にコサックの原型になったと考えられています。

ウクライナ・コサック
1792年には、黒海コサック軍がウクライナから移住し、クバーニを開拓しました。彼らはクバーニ・コサック軍を編成し、この地の発展に貢献しました。

クバーニ人民共和国
1917年、カテルィノダール（現在のクラスノダール）でコサックの集会が開かれ、クバーニ軍ラーダ（議会）が結成されました。1918年2月にはクバーニ人民共和国の建国が宣言されました。しかし、1920年にはロシア内戦で赤軍がクバーニの大半を占領し、人民共和国は崩壊しました。

1933年には、スターリンによる農業集団化政策の影響で、クバーニもホロドモールによる大飢饉に見舞われました。この飢饉は、クバーニの主要住民であったウクライナ人に壊滅的な打撃を与えました。

主要な都市

現在、クバーニ地域には以下の主要な都市があります。

クラスノダール
エイスク
ノヴォロシースク
ソチ
テムリューク
スロヴャンスク＝ナ＝クバーニ
アルマヴィール
ネヴィンノムィースク
トゥアプセ
アナパ

これらの都市は、地域の経済、文化、交通の中心地として機能しています。

関連項目

クバーニという名称は、以下のようなものにも使用されています。

クバーニ川：スターヴロポリ地方およびクラスノダール地方を流れる川
FCクバン・クラスノダル：ロシアのサッカークラブ
クバン州：ロシア帝国の行政区の一つ
航洋砲艦クバーニ：ロシア帝国で建造された砲艦

まとめ

クバーニは、その長い歴史の中で様々な民族や文化が交錯し、独自の歴史を形成してきた地域です。コサック文化、ロシア帝国、そしてソ連時代の影響を受け、現代に至るまでその複雑な歴史を背負っています。この地域の歴史を知ることは、ロシア南部の歴史と文化を理解する上で非常に重要です。

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