北京議定書

北京議定書について

北京議定書は、1901年 9月7日に中国の北京で調印された重要な国際協定で、義和団の乱を受けて八カ国連合軍と清国との間で交わされました。この文書は、日本の外交文書での正式名称である「北清事変に関する最終議定書」や、中国での呼称である「辛丑条約」または「辛丑和約」としても知られています。英語圏では「Boxer Protocol」という表現が一般的です。議定書は、1900年10月から進められた和議交渉を経て、各国と清国との協定内容を最終的に確認するために調印されたものです。

調印国と全権

議定書には、以下の国々と清国の全権者が調印しました。

- グレートブリテン及びアイルランド連合王国：アーネスト・サトウ
- ロシア帝国：ミハイル・ニコラエヴィチ・フォン・ギルス
- 大日本帝国：小村壽太郎
- フランス共和国：ポール・ボー
- アメリカ合衆国：ウィリアム・ウッドヴィル・ロックヒル
- ドイツ帝国：アルフォンス・ムン・フォン・シュヴァルツェンシュタイン
- オーストリア＝ハンガリー帝国：モーリッツ・チカン・フォン・ヴァールボルン
- イタリア王国：ジュゼッペ・サルヴァーゴ・ラッジ

清国側では、総理外務部事務の慶親王奕劻や直隷総督の李鴻章が全権を持ちました。さらに、スペイン、オランダ、ベルギーなどの国が仲介役として関与しています。

議定書の主な内容

議定書の内容には、以下のような条項が含まれていました。

- 賠償金の支払い：清国は義和団による外国人の殺害に関連して、合計4億5000万両の賠償金を列国に支払うことが定められました。この金額は年利4%の分割払いとして39年間にわたる支払いを約束するものでした。
- 治安維持に関する条項：清国は外国公使館の周辺に特定の区域を設定し、その領域の治安を列強国に譲渡しました。これにより、公使館の警察権が列強国に移行され、清国民の居住を禁止する措置が取られました。
- 禁制の措置：地方官吏に対し、排外的団体への加入禁止やその取締りに関する厳しい命令が下されました。
- 文化的制裁：義和団の乱による外国人殺人が起こった市府においては、科挙の受験が5年間禁止されることになりました。

議定書の影響

北京議定書は、清国の主権を大きく制限し、外圧の強い時代の中で清朝の資金と資源の投資の優先順位を劇的に変える結果となりました。賠償金は清朝にとって極めて大きな負担であり、民間人や農民への税負担を増やし、国民の不満を引き起こしました。当時の清朝は年間予算の約4倍に相当する額を求められ、財政的な困難に直面したのです。

清朝は賠償金を支払うために引き続き外資に依存せざるをえなくなり、国内の改革が制限された結果、北洋軍の勢力が増大しました。

賠償金の支払いの変遷

時が経つにつれ、国際社会からの非難や経済的な理由から賠償金の減額が進められました。特にアメリカが1908年に条件付きで減額に応じたことで、その減額分が教育機関の設立に活用され、清華大学の設立にも寄与しました。最終的に1938年までに、合計6億5千万両が支払われ、賠償は完了しました。

このように、北京議定書は清朝及び後の中華民国に長期的な影響を与え、国際関係や国内政治を大きく揺るがす出来事でした。

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