北大東中継局

北大東中継局について

北大東中継局は、沖縄県島尻郡北大東村の中野に位置する地上波テレビジョン放送の中継局です。この中継局は、沖縄県大東地域におけるテレビ放送の歴史において重要な役割を果たしてきました。

開局の背景

1984年にNHKの衛星放送が試験的に開始された際、南大東島に中継局が設置され、これが地元放送局の代わりとして利用されていました。その後14年を経て、小笠原諸島向けの通信衛星回線を利用した放送波送信に相乗りする形で、沖縄県内の放送系統に対応した地上波放送を送信するために北大東中継局が開局しました。

デジタル化と珍しい経緯

テレビジョン放送の完全デジタル化に伴い、北大東中継局は約1年間の休止期間を経ました。しかし、送信波がそのままデジタルに移行するという珍しいケースとなりました。このデジタル化により、放送エリアは北大東島全域となり、港地区の一部は南大東中継局のエリアとなっています。

放送エリアと電波の送受信

北大東中継局は、主に北大東島を放送エリアとしています。デジタル放送では、沖縄本島から海底光ケーブルで送られてきた信号を南大東中継局で受信し、そこから放送波中継によって再送信しています。

アナログ放送時代には、東京タワーからの放送波をテレコムセンター（東京都江東区）で受信し、通信衛星経由で南大東中継局で受信後にUHFに変換、その後デジタル放送と同様に放送波中継で伝送していました。

歴史

1998年4月1日: 北大東中継局が開局しました。当初、小笠原諸島向けの中継波を利用していたため、NHKと民放ともに東京（関東広域圏）の番組が放送されていました。民放は、東京キー局のうち、沖縄に系列局のある放送局を中継していました。
2010年6月30日: テレビ放送の完全デジタル化に伴い、在京局の放送をBSによるセーフティネット放送に移行。在京局の再送信中継局が廃止されたため、北大東中継局の運用は一時中断されました。この際、送信所の統廃合を除けば、事実上全国初のアナログ停波となりました。
2011年7月22日: 在沖4社5系統による地上デジタル放送中継局が開局し、約1年ぶりに再開。これにより、セーフティネット放送の対象から外れ、地元テレビ局の視聴が可能になりました。

テレビジョン放送送信設備

デジタル放送

開局日：2011年7月22日
2011年6月15日に南大東中継局と同時に予備免許が、7月20日に本免許が交付されました。
放送エリアは北大東村の大半で、港地区の一部は南大東中継局のエリアです。
デジタル放送の出力は、アナログ放送換算で30Wとなり、実質的な増力となりました。
チャンネルは、全局がかつてのアナログ放送で使用していたものをそのまま引き継いでいます。これは、リパック作業（「アナ・アナ変換」や「デジ・デジ変換」）を実施したケースを除けば全国でも唯一の事例であり、アナログ放送の先行終了によって実現しました。

アナログ放送

開局日：1998年4月1日
放送最終日：2010年6月30日
通信衛星から受信した信号を地上波（UHF）に変換して放送していました。
本島などで系列局がない日本テレビ放送網（NTV）とテレビ東京（TX）は、アナログ終了まで対象外でした。
沖縄の地元局からは、ローカルニュースや気象情報（特に台風情報）などが、電話回線を通じて字幕（台風情報の場合は画像も）表示されました。
放送区域は北大東村でした。

関連事項

東京タワー
テレコムセンター
南大東中継局
小笠原諸島（小笠原村）
父島中継局
母島中継局

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