北小路敏

北小路敏：激動の時代を生きた左翼活動家

北小路敏（きたこうじさとし、1936年8月4日 - 2010年11月13日）は、20世紀後半の日本において、その名を轟かせた左翼政治活動家でした。彼は、革命的共産主義者同盟（中核派）の最高幹部として、数々の政治闘争の中枢を担い、激動の時代を生き抜いた人物として知られています。

1936年、京都で誕生した北小路は、国語教師であり後に京都府議会議員となった北小路昂を父に持ちました。1954年には日本共産党に入党、1956年には京都市立紫野高等学校を卒業し京都大学経済学部に入学します。しかし、1958年には共産党を離党。その後、安保闘争において全学連の指導者として頭角を現し、特に1960年6月15日の国会突入デモでは最高指揮者を務めました。このデモでは、学生運動家・樺美智子が死亡するという悲劇的な事件も発生しています。当時、彼は共産主義者同盟（ブント）に所属していました。

安保闘争後、ブントの分派を経て革命的共産主義者同盟（中核派）に加盟。清水丈夫らと共に、中核派を代表する古参幹部として活躍しました。1965年の東京都議会議員選挙には杉並区から立候補しましたが落選。それでも、法定得票数を上回り、一部の大政党公認候補よりも多くの票を獲得する善戦を見せました。その後も、1967年、1969年の都議選に立候補するも落選。このことについて、「議会主義を否定する三派の指導者が、なぜ議会に出ようとするのか」と批判された際には、「われわれはアナーキーでも、反議会主義でもない。革命的議会主義だ」と反論しています。これは、最終的には議会の廃止を目指しつつも、革命を達成するまでの過程において議会での発言力を利用する必要性を主張したものでした。興味深いことに、杉並区ではその後も中核派の影響力が続き、1989年には長谷川英憲が都議会議員に当選しています。

1967年には、新左翼各派による羽田空港での佐藤栄作首相のベトナム訪問阻止行動（第一次羽田事件）に参加し、逮捕されています。また、1991年には、隣家への誤爆によって発生した外務省審議官の父宅放火殺人事件に関して、報道陣の質問に対し、事件を正当化するような発言で物議を醸しました。

晩年は目立った政治活動は行っていませんでしたが、公安警察の監視下にあったと伝えられています。2010年11月13日、74歳で死去しました。

北小路敏は、日本の戦後社会において、極めて重要な役割を果たした人物の一人と言えるでしょう。彼の活動は、賛否両論あるものの、日本の政治史、特に学生運動史や新左翼運動史において、無視できない存在であったことは間違いありません。彼の思想や行動は、現代においても、様々な議論を呼び起こし続けています。また、彼が著した『歴史選択としての七〇年闘争』（1969年、自由国民社）は、当時の社会情勢や彼の思想を知る上で貴重な資料となっています。彼の生涯は、激動の時代を生き抜いた一人の活動家の物語であると同時に、日本の現代史を理解する上で重要な鍵となる出来事の数々を象徴的に示していると言えるでしょう。彼の思想や行動は、現代社会を考える上で、依然として重要な示唆を与え続けていると言えるのではないでしょうか。

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