北川智規 (野球)

北川 智規

1978年1月9日に埼玉県狭山市で生まれた北川智規は、元プロ野球選手（投手）であり、引退後はオリックスグループのビジネスパーソンとして活躍している。右投右打。

野球との出会いと大学での飛躍

地元埼玉で育った北川が野球に興味を持ったのは、小学校2年生の時。野球好きの両親と共に観戦した西武ライオンズの試合で、プロ野球の迫力に魅せられたのが始まりだった。祖父もかつて甲子園に出場した野球経験者であり、野球は身近な存在だった。中学では軟式野球部で汗を流し、埼玉県立川越高等学校に進学。卒業後、高校の先輩である杉本友氏（国立大学出身者として初のドラフト1位指名）からの助言もあり、一年間の浪人生活を経て横浜国立大学教育学部に進学した。

大学では神奈川大学野球リーグで投手として類稀なる才能を開花させる。1年秋から通算で36勝、553奪三振という驚異的な記録を打ち立て、これらは現在もリーグ記録として残っている。また、3度もノーヒットノーランを達成するなど、圧倒的な投球を見せた。2年生だった1999年には、日米大学野球選手権の日本代表に選出され、国際舞台も経験。2年春には、チームを50年ぶりのリーグ2位に躍進させる原動力となった。個人としても、ベストプレーヤー賞を4回、ベストナインを2回受賞するなど、輝かしい実績を残した。

プロ入りとオリックスでの挑戦

大学での活躍が認められ、2000年のドラフト会議でオリックス・ブルーウェーブから7位指名を受けプロ入りした。この時、契約金0円で入団し、出来高契約として2000万円が設定されたことが話題となった。

プロ入り後、2001年から一軍に名を連ねる。同年8月27日の西武ライオンズ戦でリリーフとしてプロ初登板を果たし、最初の打者からプロ初奪三振を記録。9月26日には、優勝マジック1としていた大阪近鉄バファローズ戦でプロ初先発のマウンドに上がった。7回途中まで2失点と好投し、勝ち投手の権利を持って降板したが、チームが逆転サヨナラ負けを喫したため、プロ初勝利はならなかった。この試合は、後に本人が現役時代で最も印象深い試合として挙げ、「結果は負けでしたが、その悔しさがバネになりました」と語っている。

その後も好投しながらも味方の援護に恵まれない試合が続いたが、2003年9月27日の福岡ダイエーホークス戦で、ついにプロ初勝利を手にした。延長10回表に8番手として登板し、無失点に抑えるとその裏、後藤光尊選手のサヨナラホームランが飛び出し、劇的な勝利投手となった。

早期の引退と異分野への転身

しかし、プロの世界は厳しく、2004年10月7日、26歳という若さでオリックスから戦力外通告を受けた。引退を決意した北川は、当時の球団GMであった中村勝広氏に解雇の理由を尋ねた際、「君には将来がある。野球だけやっても本人のためにならないから」という言葉を受けた。この言葉は、その後のキャリア選択において、大きな希望となったと語っている。

現役引退後、北川は就職活動を開始した。当初は自身のキャリアを長期的に築ける職を求め、外資系の製薬会社から内定を得る。しかし、大学時代の恩師から「オリックスグループも受けてみてはどうか」という助言を受け、親会社のオリックス株式会社への応募を決意。その結果、球団から親会社へという異例のキャリアチェンジを果たした。

入社後、1年目からオリックス・リアルエステート（現在のオリックス不動産）へ出向し、不動産事業に携わる。この間、宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー2級といった資格を取得するなど、ビジネススキルを着実に磨いていった。マンション事業などを担当した後、2020年4月からはオリックス・ホテルマネジメントへ出向し、ホテル、旅館、研修所などの運営事業に従事している。プロ野球選手からビジネスパーソンへと、全く異なる分野で新たなキャリアを構築している。

選手としての特徴と主な記録

投手としては、サイドスローから繰り出されるキレのある速球と、曲がりは小さいながらも打者の手元で鋭く変化するカーブを武器としていた。

主な記録としては、以下の通りである。

初登板：2001年8月27日、対西武ライオンズ戦（グリーンスタジアム神戸）、リリーフ
初奪三振：上記初登板時、清水雅治選手から
初先発：2001年9月19日、対千葉ロッテマリーンズ戦（千葉マリンスタジアム）
初勝利：2003年9月27日、対福岡ダイエーホークス戦（Yahoo! BBスタジアム）、リリーフ

背番号は、オリックス在籍中は「59」だった。

プロ野球界で短い期間ながらも奮闘し、その後、全く異なる分野で成功を収めている北川智規のキャリアは、多くの人にとって示唆に富むものである。

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