北朝鮮によるミサイル発射実験 (2009年)

2009年北朝鮮によるミサイル発射実験：国際社会を揺るがせた事件

2009年4月5日、北朝鮮は『銀河2号』と名付けられたロケットを日本海上空に向けて発射しました。北朝鮮は人工衛星打ち上げと主張しましたが、多くの国々は弾道ミサイル技術の向上を目的とした実験と見なしました。この事件は、国際社会に衝撃を与え、激しい議論と緊張を引き起こしました。

発射に至る経緯

発射の約2ヶ月前、北朝鮮がミサイル発射準備を進めている兆候が、米韓情報当局によって捉えられました。咸鏡北道舞水端里のミサイル発射施設で、長距離弾道ミサイルの部品とみられる物体の移動が確認されたのです。その後、北朝鮮は人工衛星『光明星2号』の打ち上げ計画を発表。国際海事機関（IMO）や国際民間航空機関（ICAO）にも発射計画を通知しました。

日本政府は、ロケットの落下に備えミサイル防衛による迎撃態勢を検討。防衛大臣から破壊措置命令が発出されました。これに対して北朝鮮は、迎撃した場合には軍事的報復を行うと強く反発しました。

発射予定日である4月4日、朝鮮中央通信は発射準備完了を報道し、各国に緊張が走りましたが、当日は発射されませんでした。翌5日、ロケットは予定通り発射され、東北地方上空を通過しました。日本の領域に被害は無かったため、迎撃は行われず、発射のニュースは世界中に伝えられました。

発射後の対応と議論

北朝鮮は発射成功を主張し、『光明星2号』が予定された軌道に乗ったと発表しました。しかし、北アメリカ航空宇宙防衛司令部（NORAD）は、軌道上にそのような衛星を確認できず、発射は失敗だったとの見解を示しました。韓国やロシアも同様の見解を示しました。日本政府も、当初は「飛翔体」と表現していましたが、後日に「ミサイル発射」と表現を変更。分析結果では、衛星軌道到達に必要な速度に達していなかったことが明らかになりました。

ロケットの名称についても議論が巻き起こりました。北朝鮮は「人工衛星打ち上げ用ロケット」と主張しましたが、多くの国々は「ミサイル」と表現しました。国際連合安全保障理事会は「ロケット発射」と表現した声明を発表し、北朝鮮の行動を強く非難。2006年の核実験後に採択された国連安保理決議1718への違反だと指摘しました。

国際社会の反応とその後

国連安全保障理事会は、北朝鮮に対しさらなる発射の中止、核兵器と弾道ミサイル開発の完全放棄、6カ国協議への早期復帰などを強く求める議長声明を採択しました。また、決議1718に基づく制裁の履行徹底も加盟国に要請しました。

日本を含む6カ国協議参加国には、2005年の共同声明に基づく北朝鮮非核化とエネルギー支援の実行も促しました。当初、日米はさらなる制裁決議を目指しましたが、中国の反対により、議長声明という形での対応となりました。

金融支援とミサイル開発

一部では、過去に韓国から北朝鮮への多額の金融支援があったことが、ミサイル開発を加速させた一因であるとの指摘もあります。これらの支援が、国際社会の安全保障に深刻な脅威となるミサイル発射につながった可能性が示唆されています。

結論

2009年の北朝鮮によるミサイル発射実験は、北朝鮮のミサイル開発計画の進展を示すものであり、国際社会の安全保障に対する深刻な脅威であることを改めて浮き彫りにしました。この事件は、国際社会の連携による北朝鮮への対応の必要性、そして北朝鮮の核・ミサイル開発問題の複雑さを改めて示すものとなりました。今後の北朝鮮の動向、そして国際社会の対応が注視されます。

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