北村久寿雄

北村 久寿雄

北村 久寿雄（きたむら くすお、1917年10月9日 - 1996年6月6日）は、日本の著名な競泳選手であり、労働省官僚としても知られています。彼は、1932年のロサンゼルスオリンピックにおいて、1500m自由形で金メダルを獲得しました。この優勝により、日本の競泳界に名を刻んだ北村は、将来のアスリートたちにとっての道しるべとなりました。

生い立ちと泳ぎの基礎

北村は高知市の菜園場町に生まれました。幼少期からの指導者である溝渕治助のもと、彼は技術を磨きました。特に、鏡川を逆流して泳ぐ練習法が印象的で、かつては板垣退助や坂本龍馬も泳いだと言われるこの川での経験が、北村の競泳技術を向上させました。

オリンピックでの快挙

1932年、当時14歳290日という若さで、北村はロサンゼルスオリンピックに出場しました。彼は水泳1500m自由形で、これまでのオリンピック記録を40秒近く縮める19分12秒4のタイムを叩き出し、金メダルを獲得しました。この成績は1988年のソウルオリンピックでハンガリーのクリスティーナ・エゲルセギによって破られるまで、競泳界における最年少金メダリストとしての記録として残りました。

学業と後のキャリア

オリンピック後、北村は一時競泳から引退し、旧制第三高等学校に進学しました。1936年には、高知県の交通の便にも寄与する形で、高知市営プールが建設されました。このプールは後に高知市総合体育館へと建て替えられ、北村の足跡を伝える資料が展示される場所となりました。

1941年には東京帝国大学法学部を卒業した後、三井物産に勤務し、その後労働省に入省しました。その後の太平洋戦争では陸軍中尉としてビルマ戦線に従軍し、川の地形偵察や兵士に水泳を教えるなど、多岐にわたる役割を果たしました。

競泳界との関わり

軍から復員後、北村は公労委事務局長や国際労働機関（ILO）日本政府代表部一等書記官の職を歴任し、競泳界においても重要な役割を担いました。特に、第3回アジア競技大会競泳日本代表監督や日本水泳連盟の常務理事として、国内外の水泳競技の発展に寄与しました。

1984年には住友セメントの顧問を務める傍ら、同年に設立されたマスターズ水泳協会の初代会長に就任しました。北村の影響力は、競泳界の発展にとどまらず、多くの後進に勇気と技術を伝える大きな役割を果たしています。

結論

北村久寿雄は、その若き日のオリンピックでの快挙から始まり、学業やキャリアを通じて、競泳界に多大な影響を与えました。彼の業績は、日本のスポーツ界における重要な一ページとして、今なお語り継がれています。

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