北村宗龍

北村宗龍（きたむら そうりゅう）

北村宗龍は、天文21年（1552年）に近江国野洲郡北村（現在の滋賀県野洲市）で、北村正頼の三男として生まれました。幼名は宗三郎、後に助庵とも号しました。彼は医師でありながら、連歌師としても名を馳せました。

生涯

宗龍は、医術を曲直瀬道三に師事し、連歌を里村紹巴に学びました。曲直瀬道三の推薦により、毛利元就の八男である元康の侍医となり、一時毛利家から300石の禄を賜りました。これは彼の医術の高さが認められた証と言えるでしょう。その後、宗龍は故郷に戻り、医業を行う傍ら、永原天神連歌宗匠として、野洲郡一帯で連歌の指導に尽力しました。

永原天神は、建久元年（1190年）に源頼朝が上洛の際に連歌を奉納したという由緒ある場所であり、連歌との関わりが深い場所でした。永禄元年（1558年）には今川義元が千句会を興行するなど、連歌文化の中心地として栄えていました。江戸時代には、天領代官の出席のもと、正月13日に「十梅千句」を社前に奉納することが慣わしとされ、地域文化の発展に大きく貢献しました。宗龍は、連歌の指導を通じて、地域の文化的な活動を活性化させた人物と言えるでしょう。

晩年は連歌や茶の湯を楽しみ、寛永20年（1643年）に亡くなりました。法名は石心宗龍居士です。彼の没後、医家と永原天神連歌宗匠の地位は長男の北村宗与が継ぎました。次男の宗円は京で医者として活躍し、その嫡男が後の連歌師、北村季吟です。宗龍の妻は長束正家の娘で、寛永18年（1641年）に亡くなっています。

北村宗龍の家系

宗龍の家系は、以下の通りです。

祖父：北村雅輔
父：北村正頼
母：谷権右衛門の娘
兄：北村正昭
叔父：北村正康、北村正信、北村秀正、北村正斉
妻：長束正家の娘
長男：北村宗与（継子に北村宗雪）
次男：北村宗円（嗣子に北村季吟）

宗龍の兄、北村正昭の家系からは儒学者の北村可昌が生まれています。このように北村宗龍の家系は、医術、連歌、儒学と多岐にわたる分野で才能を発揮する人物を輩出した家系と言えるでしょう。

北村宗龍は、医師としての知識と連歌師としての文化的素養を兼ね備え、地域社会に大きな影響を与えた人物でした。彼の存在は、戦国時代から江戸時代初期にかけての文化的な流れを理解する上で重要な要素の一つです。

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