里村紹巴

里村紹巴の生涯と功績

里村紹巴（さとむら じょうは）は、1525年に生まれ、1602年に亡くなった戦国時代の著名な連歌師です。奈良藩に生まれた彼は、連歌を周桂に学び、その後、師である里村昌休の後を継いで里村家を担いました。彼の本姓は松井氏ともされ、里村姓は後世の呼称に過ぎません。

彼の経歴には、さまざまな著名人との交流がありました。特に公家の三条西公条や、武将たち（織田信長、明智光秀、豊臣秀吉、三好長慶、細川幽斎、島津義久、最上義光など）との親交が知られています。天正10年、明智光秀が行った「愛宕百韻」に参加したことは特に有名であり、これは連歌界において重要な出来事の一つです。本能寺の変以降、豊臣秀吉に疑われたこともありましたが、困難を乗り越えました。

40歳の時、宗養の死を契機に連歌界の第一人者となりますが、文禄4年（1595年）には秀次事件に連座し、近江国の園城寺に蟄居することになりました。この経験は彼の後の活動にも影響を及ぼしたことでしょう。彼は連歌の進行を重視し、『連歌至宝抄』という連歌論書を書きました。また式目書や式目辞典、古典注釈書なども多数執筆し、その中には『源氏物語』の注釈書『紹巴抄』や『狭衣物語』の注釈書『下紐』も含まれています。

紹巴は近衛稙家から古今伝授を受け、彼の門弟には松永貞徳が名を連ねるなど、彼の影響力は非常に大きかったと言えます。また、彼は豊臣秀吉が帰依していた高野山の木食応其とも親交があり、最上義光の連歌師である一花堂乗阿との交流もありました。後に、里村家からは宝永5年（1707年）に時宗の遊行上人を継承した遊行48代賦国が誕生しました。里村家は徳川宗家に仕え、幕府の連歌師として活動し、連歌界に大きな影響を与えました。

紹巴の子孫は里村本家（北家）と呼ばれ、娘婿の里村昌叱の子孫は里村南家とされています。彼の生涯の逸話の一つとして、辻斬りに遭遇した際、逆に刀を奪い取って退けたという話があり、これが織田信長に賞賛されたと弟子の貞徳が伝えています。このように、彼は連歌師としてだけでなく、人間としても多くのドラマを抱えた人物でした。

また、彼が所持していた生地の名物裂の一つである「紹巴織」は、経と緯に強撚糸を使い、幾何学模様や花や唐子を文様化したものです。このことからも、彼の影響は連歌だけでなく、文化や工芸の面にも及んでいたといえるでしょう。

最後に、彼に関する書籍も多く存在し、小高敏郎の『ある連歌師の生涯　里村紹巴の知られざる生活』や、彼を主人公にした岩井三四二の『覇天の歌』などがあることからも、多くの人々によってその生涯が語り継がれていることが窺えます。

もう一度検索