北条時氏

北条時氏：若き日に散った鎌倉幕府のホープ

北条時氏（ほうじょう ときうじ）は、鎌倉時代前期に生きた北条氏の一族です。第3代執権である北条泰時の嫡男として、その将来を嘱望されました。

承久の乱での活躍

建仁3年（1203年）に生まれた時氏は、承久3年（1221年）の承久の乱で父・泰時とともに東海道を進軍。宇治川の戦いでは、幕府軍が苦戦する中、自ら川を渡って敵陣に突入するという勇敢さを見せました。

六波羅探題として

貞応3年（1224年）には、六波羅探題北方に任じられ京都へ。承久の乱後の不安定な京の治安維持に尽力しました。得宗家の嫡子として、南北両探題を主導する立場として活躍しました。

しかし、寛喜元年（1229年）には、配下の者が起こした事件が原因で延暦寺と対立。朝廷との関係も悪化してしまいます。この事件の責任を取り、寛喜2年（1230年）に鎌倉へ戻ることになりました。

突然の死

鎌倉に戻った時氏は、病に倒れてしまいます。様々な治療や祈祷もむなしく、同年6月18日に28歳という若さでこの世を去りました。藤原定家は、時氏が糖尿病を患っていたことを記録しています。

時氏の死は、父・泰時に大きな悲しみを与えました。その死を悼み、出家する者も多かったと伝えられています。

子孫の活躍

時氏の死後、12年を経て泰時も亡くなると、時氏の長男である経時が第4代執権に就任。その後も、次男の時頼が第5代執権となるなど、時氏の血筋は鎌倉幕府において重要な役割を果たしました。

北条時氏は、若くして亡くなったものの、その勇敢さと高い能力で鎌倉幕府に貢献しました。また、その子孫たちが幕府を支えたという点でも、重要な人物であったと言えるでしょう。

参考文献

上横手雅敬『北条泰時』（新装版）吉川弘文館〈人物叢書〉、1988年（原著1958年）。ISBN 4-642-05135-X。
高橋慎一朗『北条時頼』吉川弘文館〈人物叢書〉、2013年。ISBN 978-4-642-05267-2。
安田元久編『鎌倉・室町人名事典』（コンパクト版）新人物往来社、1990年。ISBN 978-4-404-01757-4。
石井清文『鎌倉幕府連署制の研究』岩田書院、2020年。ISBN 978-4-86602-090-7。

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