北東グリーンランド国立公園

北東グリーンランド国立公園

北東グリーンランド国立公園は、グリーンランドの北東部に広がる、世界最大級の国立公園です。その面積は97万2000平方キロメートルにも及び、地球上で最も北極に近い国立公園の一つとして知られています。

概要

1974年3月22日に設立されたこの公園は、1988年にその面積を拡大し、現在の規模となりました。公園の気候は極めて寒冷で、氷に覆われた大地が広がっています。しかし、その厳しい環境下でも、多様な野生動物が生息しており、特にジャコウウシは5,000頭から15,000頭が生息していると考えられています。この数は、世界全体のジャコウウシの生息数の約40%に相当し、公園がジャコウウシにとって重要な生息地となっていることがわかります。また、セイウチやホッキョクグマも多く生息しており、これらの動物たちを観察することができます。

1977年にはユネスコの生物圏保護区に登録されましたが、2019年に申請により登録を撤回しました。公園の南東部には、グリーンランド海に面したホーホシュテッター前地があり、ここでは低木のヒース、草原、湿地、河川、池などが見られます。一方、北東部のキーレンには、砂利が多く、周辺地域と比べて植生密度が高いのが特徴です。これらの地域は、コザクラバシガン、シロハラネズミガン、ホッキョクオオカミ、ホッキョクグマ、シロフクロウ、ホッキョクイワナ、セイウチ、ホッキョククジラなどの動物の生息地となっており、1988年にはラムサール条約登録地にも指定されています。

公園への訪問手段は飛行機に限られており、その広大な規模と知名度に反して、訪れる人はそれほど多くありません。

人口

現在、この国立公園内に定住している人はいません。1986年には40人がMestersvigに定住していましたが、彼らは採掘調査に関わっており、調査活動の終了とともに公園を離れました。以降の国勢調査では、公園内の定住者はゼロとされています。

ただし、現在も公園内には31人と110匹の犬が越冬しており、以下の場所で暮らしています。これらの場所は、Summit Campを除いてすべて海岸沿いに位置しています。

Daneborg (12名): 公園警備のためのデンマーク海軍部隊が本部を置いています。
Danmarkshavn (8名): 民間の気候調査が行われている場所です。
ノード基地 (5名): 軍事基地として機能しています。
Mestersvig (2名): 軍の前哨地であり、1800mの砂利の滑走路があります。
Zackenberg (0名): 夏季限定の調査基地として利用されています。
Summit Camp (4名): 氷床調査が行われている基地です。

夏季には多くの科学者が調査のために訪れるため、滞在者数は増加します。特に、調査基地「ZERO」（Zackenberg Ecological Research Operations）には、20名以上の科学者が滞在することができます。

まとめ

北東グリーンランド国立公園は、その広大な面積と厳しい気候条件から、地球上で最も手つかずの自然が残る場所の一つと言えるでしょう。希少な野生動物が生息し、科学研究の拠点としても重要な役割を果たしています。訪問は容易ではありませんが、その壮大な自然は、訪れる人々を魅了し続けています。

関連項目

グリーンランドの地方行政区画 - 非法人地域
グリーンランドの空港の一覧

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