北東部州 (スリランカ)

北東部州の歴史と背景

北東部州（North Eastern Province）は、スリランカの歴史において特異な位置を占める行政区画でした。1988年に北部州と東部州が統合されて設立されたものの、2007年にはそれぞれの州に分けられました。州都はトリンコマリーで、地域内には様々な文化が交錯していました。

1. 北東部州の設立

北東部州設立の背景には、1987年7月に締結されたインド＝スリランカ和平合意があります。この合意を受け、スリランカ政府はタミル人の歴史的居住区を認め、北部州と東部州の合併を承認しました。合併後の北東部州には、暫定的な地方政府が設置され、1988年末までに住民投票を行うことが約束されました。

1988年11月に、スリランカ国会は憲法第13修正を可決し、北東部州の正式な設立が実現しました。翌年には州議会も発足し、地域の政治的構造が整いました。しかし、住民投票は実施されず、その後も暫定的な地方政府の期限延長が続くこととなります。これはシンハラ人ナショナリストからの反対運動が影響していたと言えます。

2. 合併と分離の背景

北東部州は、面積の約4分の1を占める地域であり、スリランカ・タミルの支配に対する反発が強まっていました。2006年には、スリランカ人民解放戦線（JVP）が最高裁判所に訴訟を起こし、暫定地方政府の分離を求めました。その結果、2007年に最高裁は合併の無効を宣言し、北東部州は北部州と東部州に正式に分かれることになりました。

3. 暫定地方政府の役割

北東部州の成立により、州議会が設立され、地域の政治決定に向けた枠組みが整いました。1988年4月には州議会議員選挙が行われ、サバラガムワ州、北西部州、北中部州、ウバ州とともに、地域政治に新たな風が吹き込まれました。

県知事は主に引退した政治家や裁判官、軍人が就任し、18年間の北東部州の歴史において6人が知事を務めました。彼らは地域の発展と安定に重要な役割を果たしました。

4. 結論

北東部州はスリランカの歴史の中で重要な役割を果たしており、政治的背景が複雑な地域でした。合併から分離までの過程は、多くの対立と和平の努力を反映しており、スリランカの政治と社会における課題を象徴しています。北東部州の歴史は、ただの地理的な変遷にとどまらず、国の民族間の関係を考える上でも重要な示唆を与えています。

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