トリンコマリー

トリンコマリーの概要

トリンコマリー（タミル語: திருகோணமலை、シンハラ語: තිරිකුණාමළය、英語: Trincomalee）は、スリランカ北東部に位置する重要な港町です。この地域は東部州の州都であり、トリンコマリー県の中心でもあります。また、タミル語文化が色濃く根付いている場所の一つとして知られています。地元の言葉では「ティルコーナマライ」と呼ばれ、意味は「聖なる神の山」です。

歴史的な背景

トリンコマリーは古くから戦略的な港としてその地位を確立しており、多くの王国にとって重要な軍事拠点とされてきました。1624年にはポルトガル人によって要塞が建設され、沿岸にあったシヴァ派のコーネースワラム寺院が破壊され、その資材が利用されました。その後、この地はオランダによって占領され、オランダ植民地となりました。1672年には、フランスとキャンディ王国連合軍が攻撃を仕掛けましたが、オランダ軍の反撃により占拠は失敗に終わりました。

1782年には一時的にイギリス軍に占領されたものの、その後フランスとの争いにより撤退し、1795年に再びイギリスの植民地となりました。それ以降、第二次世界大戦中にはイギリス海軍の東洋艦隊の基地が置かれ、日本の攻撃目標にもなっていました。1942年のセイロン沖海戦では空襲が行われ、多くの市民にも影響を及ぼしました。

地理と自然

トリンコマリーはスリランカの東海岸北部にあり、キャンディから北東へ約180km、ジャフナから南東に180kmの位置にあります。地理的には湾を内湾と外湾に分ける半島部に位置し、トリンコマリー湾はその大きさと安全性で知られている天然の良港です。美しい海岸と未開発の自然が特徴で、サーフィンやスクーバダイビング、釣り、ホエールウォッチングなどのアクティビティが楽しめます。

さらに、トリンコマリーにはスリランカ最大のオランダ要塞があり、戦争の歴史を物語っています。加えて、スリランカ海軍と空軍の基地もあるため、過去には内戦中の重要な拠点として機能していました。街の周辺には未開発のビーチが広がり、特に遠浅の砂浜が特徴で、観光客にも人気があります。また、北約15kmの沖合にはピジョン島国立公園があり、豊かなサンゴ礁が保護されています。

気候

トリンコマリーは熱帯夏季少雨気候に属し、2月から9月までが乾季です。平均降水量は年間約1,570mm、12月から1月には平均気温が約26℃で最も涼しい季節となり、反対に4月から9月が最も暑い季節で約30℃に達します。

交通と通信

交通面では、トリンコマリーはA6およびA12ハイウェイの東の終着点にあり、鉄道も整備されています。また、コロンボへの国内線便が運行されているトリンコマリー空港もあり、交通の便が良好です。

過去にはドイツの放送局の中継局も存在していましたが、現在は閉局しています。トリンコマリーは、歴史と自然が魅力的に交わる場所として、多くの観光客を引き寄せる重要な都市であり続けています。

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