サバラガムワ州

サバラガムワ州の概要

サバラガムワ州（英語: Sabaragamuwa）は、スリランカの中央山脈の南西側に位置している特異な地域です。この州は、シンハラ人が主に住む高地（ウダ・ラタ）と低地（パハタ・ラタ）の交差ポイントにあり、そこから多様な文化が育まれています。また、かつての王国の周縁に位置しているため、独特の歴史的背景を有していることも特徴に挙げられます。特にイギリスの植民地時代（1815年-1948年）以前は、西欧の植民地化の影響が少なかったため、伝統的な文化が色濃く残っています。

地理と気候

サバラガムワ州は、西にコロンボ首都圏を持つ西部州、北には北西部州、北東部には中部州、南東部にはウバ州、南に南部州と接しており、その位置関係から多様な自然環境が形成されています。地形は、海抜100メートルから2000メートルまでの幅広い高度差を持ち、山々が壮大に連なっています。州都のラトゥナプラは、コロンボから約100キロメートル離れた内陸部に位置しています。

ここは南西モンスーンと北東モンスーンによる恵まれた降雨がもたらされ、農業が盛んに行われています。米は二期作が基本であり、加えて野菜や果物などの換金作物も栽培されています。また、植民地時代に始まった茶やゴムのプランテーションは、今日においても重要な収入源として機能しています。特に紅茶産業は、スリランカ経済にとって重要な役割を果たしています。

社会と文化

ラトゥナプラは「宝石の町」として知られ、周囲の田畑からはルビーやサファイア、トパーズといった貴重な宝石が採取され、一攫千金を夢見る人々が訪れる場所となっています。この地域は、かつての地主貴族たちによって支配されていた歴史を持ち、現在でもその影響が名残を留めています。

特筆すべきは、ラトゥナプラ北方に位置するスリー・パーダ山（標高2238メートル）です。この山は多宗教にまたがる聖地として知られ、仏教徒やヒンドゥー教徒、イスラム教徒、キリスト教徒がそれぞれの信仰の象徴として崇めています。特に毎年3月の満月の日には、多くの巡礼者がこの山に登ります。

州名の「サバラ」は狩猟民を意味し、「ガムワ」は地域を指します。かつては先住民であるヴェッダ人が生息していた地域ですが、今ではその痕跡は薄れています。サバラガムワ州は自然が豊かでありながらも、伝統と現代が融合した地域として、多様な文化が息づいています。

行政と主要都市

サバラガムワ州は、ラトゥナプラ県とケーガッラ県の2つの県から構成されています。州の政治的な重心はラトゥナプラにあり、サバラガムワ州議会の中心としての役割も果たしています。

歴史的な背景と豊かな文化を持つサバラガムワ州は、スリランカの中でも特異な地域であり、訪れる人々に忘れがたい体験を提供しています。

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