北海道夕張鹿島高等学校

北海道夕張鹿島高等学校は、かつて北海道夕張市鹿島明石町に設置されていた道立高等学校です。地域の中等教育を担う重要な存在でしたが、その歴史は地域産業の衰退とともに幕を閉じました。

学校の始まりは1950年9月1日、北海道立夕張北高等学校の鹿島分校として開校したことに遡ります。設立当初は、夕張市鹿島中学校の校舎内に併置され、3クラス180名の生徒が学んでいました。その後、地域の教育需要の高まりに応じる形で、1952年4月1日には北海道夕張鹿島高等学校として独立した学校となりました。

独立後、学校はさらなる発展を遂げます。1960年7月12日には、現在の夕張市鹿島明石町に念願だった独立校舎が完成し、教育環境が大きく向上しました。そして1962年4月1日には、全日制課程の普通科が開設され、より多様な生徒の受け入れが可能となりました。学校名は1965年4月1日に変更され、北海道夕張東高等学校として、閉校まで地域の教育を支え続けることとなります。

学校周辺の交通環境は、地域の産業構造と密接に関わっていました。学校の近くには、三菱石炭鉱業大夕張鉄道線の明石町駅があり、多くの生徒が通学に利用していました。しかし、炭鉱の閉山が進むにつれて鉄道の運行は縮小され、明石町駅も1973年12月16日の路線部分廃止に伴って廃駅となりました。閉校当時も、明石町停留所には美鉄バスや夕張鉄道のバスが運行しており、地域の公共交通が学校生活を支えていました。

学校は時代の流れの中でその役割を終え、1983年3月31日をもって閉校しました。その後、鹿島地区は夕張シューパロダムの建設という大きな変化に見舞われます。2014年3月のダムの試験湛水開始により、鹿島地区、通称「大夕張」の多くの土地がダム湖（シューパロ湖）の底に沈みました。

しかし、幸いなことに、北海道夕張東高等学校の旧校地は高台に位置していたため、水没を免れることができました。この学校跡地は、ダム建設によって失われた鹿島地区の記憶を留める場所として活用されることになります。地区内の水没区域にあった閉校記念碑、道路開通記念碑、戦没者慰霊碑、馬頭観音など、様々な記念碑や石碑が学校跡地に移設され、新たに「鹿島眺望公園」として整備されました。園内には、学校の校歌が刻まれた「北海道立夕張東高等学校記念塔」も建立されており、かつての学校の存在を今に伝えています。公園の隣には、ダム建設に伴って付け替えられた国道452号（夕張国道）が通っています。

「眺望公園」の名前の通り、この場所からは眼前に広がるシューパロ湖の美しい風景と、遠景にそびえる夕張岳を望むことができます。湖底に沈んだ故郷を偲びながら、かつての学校や地域の記憶に思いを馳せることのできる場所として、多くの人々に訪れられています。

学校の著名な出身者としては、元小樽市長の中松義治氏などがいます。地域社会に貢献する人材を育成した学び舎として、その歴史は今も鹿島眺望公園の記念塔と共に語り継がれています。

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