北海道知事公館

北海道知事公館：歴史と自然が調和する空間

北海道知事公館は、札幌市中央区に位置する北海道知事の宿舎であり、国の登録有形文化財としてもその価値が認められています。一般公開されている庭園は、訪れる人々にやすらぎを与え、その歴史を今に伝えています。

概要

庭園内は緩やかな起伏に富み、水路が巡る美しい景観が広がります。この地形は、札幌扇状地の原地形面がほぼそのまま保存されたものと考えられています。古地図によると、かつて敷地内には湧き水があり、その水が小川となって北へ流れていました。都市開発により湧き水は枯渇しましたが、庭園では人工的に水を流し、往時の流れを再現しています。

歴史

北海道知事公館の歴史は、明治時代に遡ります。

1875年（明治8年）：開拓大判官松本十郎が、酒田県から呼び寄せた旧鶴岡藩の士族に開拓を命じ、桑園地区の基礎が築かれました。
1892年（明治25年）：分譲された桑園の一部を森源三が購入し、邸宅を建設しました。
1915年（大正4年）：森邸とその敷地は三井合名会社に購入され、三井別邸として使用されました。
1936年（昭和11年）12月：旧・森邸の隣に三井別邸新館が建設されました。
1945年（昭和20年）：敗戦後、アメリカ軍に接収されました。
1952年（昭和27年）：札幌市の所有となりました。
1953年（昭和28年）：北海道の所有となり、旧館が取り壊されました。
1972年（昭和47年）3月：北海道自然保護条例により、敷地の一部が「環境緑地保護地区」に指定されました。
1982年（昭和57年）9月：構内北側の一部が公開区となりました。
1983年（昭和58年）3月：構内北側に北海道立三岸好太郎美術館が開館しました。
1988年（昭和63年）11月：建物が「さっぽろ・ふるさと文化百選」に選定されました。
1999年（平成11年）10月：建物が文化財保護法に基づく登録有形文化財となりました。

北海道知事公邸

北海道知事公館の東側には、北海道知事公邸が併設されていました。しかし、老朽化のため、2019年に廃止が表明され、現在は使用されていません。公邸跡地の活用については、北海道立近代美術館の移転など、様々な案が検討されています。

庭園

春には桜、秋には紅葉と、四季折々の自然が楽しめる庭園は、市民の憩いの場となっています。散策路を歩けば、都会の喧騒を忘れ、心安らぐひとときを過ごせるでしょう。

まとめ

北海道知事公館は、歴史的建造物としての価値だけでなく、美しい庭園を持つ文化的なスポットです。札幌を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。その魅力に触れ、北海道の歴史と自然を感じることができるでしょう。

参考文献

前田寿嗣『歩こう！札幌の地形と地質』北海道新聞社、2007年5月10日。ISBN 978-4-89453-410-0

外部リンク

北海道公式ページ - 北海道知事公館のご案内

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