桑園

桑園（そうえん）について

桑園は北海道札幌市中央区の地域であり、その名前は明治時代に広がっていた桑畑に由来しています。当時、この地域では養蚕が盛んであり、養蚕を目的とした桑畑が広がっていました。桑園駅や道路（福住桑園通、北海道道326号桑園停車場線）、さらには地元の学校なども近隣に存在し、具体的な公式町丁はありませんが、桑園地区町会連合会が活動しています。

歴史的背景

桑園の歴史は1875年にさかのぼります。この年、開拓大判官・松本十郎が札幌の南部を開拓するため、酒田県出身の元武士157人を招聘しました。彼らは養蚕の経験を持ち、桑の苗を植えるための大規模な作業を行いました。作業は約100日にわたり、月明かりの中で進められました。彼らは合計で約4万本の桑の苗木を植え、21万坪に及ぶ土地を開拓しました。この努力により、翌年には桑畑の面積が48万坪にまで拡大し、この地域は「桑園」と名付けられるようになりました。

当時、入居者は養蚕を行うことが求められており、桑は生活の一部でありました。しかし、明治の終わり頃からは民家が建ち始め、大正時代に入ると区画整理が進み、急速に宅地化が進行しました。

1927年には、札幌市電北五条線が開通し、さらには1929年には桑園駅につながる桑園線も運行を開始しましたが、単線のため運行本数は限られていました。終点であった桑園駅は、当初は貨物駅として利用されていたため、旅客利用は少なく、1960年に桑園線は廃止されました。

その後、1988年に函館本線の高架化が進むにつれ、桑園駅周辺は大規模な開発が行われ、再活性化の波が訪れました。現在ではマンションなどの商業施設も建ち並ぶ様子が見られます。

地域の施設

桑園にはいくつかの重要な施設が集まっています。JR北海道の桑園駅は地域の交通の要所であり、近隣には札幌市立桑園小学校や市立札幌病院、さらにはイオン札幌桑園ショッピングセンターなどもあります。また、北6条西12丁目に位置する「大学村」はかつて北海道大学の教授たちが居住していたエリアであり、今はマンションが立ち並ぶ状況ですが、著名な教授たちが集まったこの地域の歴史を物語っています。この文化住宅の街並みは文化百選にも選ばれたことがありますが、現在では数少ない建物が残るのみです。

桑園延命地蔵尊

また、桑園には「桑園延命地蔵尊」があり、市民の寄付により1927年に建立されました。これは事故の多い地点に安全を祈願して作られたもので、その後線路の高架化により周囲は「桑園ふれあい公園」と整備されています。毎年7月24日には慰霊祭が開催されており、地域の人々に大切に守られています。

このように、桑園は歴史や文化が色濃く残る地域であり、変化し続ける札幌の中でも独自の存在感を放っています。

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