北海道苫小牧工業高等学校

北海道苫小牧市に所在する道立の工業高等学校です。地元では「苫工（とまこう）」または「TOMAKO」という通称で呼ばれ、親しまれています。地域の産業界に貢献する技術者の育成を目指し、歴史と伝統を重ねています。

沿革

本校は、大正12年（1923年）3月5日に北海道庁立苫小牧工業学校として設立が認可されたことに始まります。当初設けられた学科は、土木建築、機械電気、応用化学の3つでした。同年4月24日には、近隣の苫小牧町東小学校の一部を利用して最初の授業が開始されました。翌大正13年（1924年）1月23日には苫小牧町末広町に建設された専用校舎へ移転し、同年6月20日に開校式が盛大に執り行われました。昭和に入ると学科の増設が進み、多様な専門分野に対応する体制が強化されます。

戦後の学制改革により、昭和23年（1948年）4月1日には北海道立苫小牧工業高等学校へと改称。さらに昭和25年（1950年）4月1日には、現在の校名である北海道苫小牧工業高等学校となりました。この間、定時制課程の設置や、電気通信科、電子科、設備工業科、情報技術科といった学科の新設・改編が時代の要請に応じて行われました。昭和22年（1947年）には校舎の一部を焼失する火災に見舞われるも、学校運営は継続されました。昭和58年（1983年）9月30日には、現在の校地である苫小牧市高丘に新校舎が竣工し、移転しています。そして令和5年（2023年）10月14日には、創立から数えて百周年という大きな節目を迎えました。

教育目標

本校では、将来、社会に貢献できる創造性豊かな工業人を育てることを教育理念としています。具体的には、豊かな心と健康な身体を培い、自ら学び公正な判断を下す知性を磨き、働くことへの意欲と強い責任感を育てることに重点を置いています。

設置学科

現在、本校には以下の学科が設置されています。

全日制課程

土木科
建築科
電子機械科
電気科
環境化学科
情報技術科

定時制課程

建築科
機械科

部活動と生徒会

生徒たちは学業だけでなく、部活動や生徒会活動にも熱心に取り組んでいます。運動系部活動では、全国高等学校アイスホッケー競技選手権大会で通算7回の優勝を果たしたアイスホッケー部や、選抜高等学校野球大会に5度の出場経験を持ち、プロ野球選手も輩出している硬式野球部が特に知られています。この他にも、バドミントン部、バレーボール部、ハンドボール部などが全道大会への出場実績を持つなど、多くの部が活発な活動を展開しています。文化系部活動では、機械工作研究部が高校ロボット競技大会やジャパンマイコンカーラリーで全国大会に出場するなど、専門性を活かした分野での活躍が目立ちます。生徒会は、生徒総会での組織改変を経て、現在9名の役員を中心に生徒の自治活動を推進しています。情報発信を担う新聞局や放送局といった外局も生徒会活動を支えています。定時制課程にも野球部、バスケットボール部、卓球部、バドミントン部などの運動系部活動が設けられています。

行事

年間を通じて、生徒たちの学校生活を豊かにする様々な行事が実施されています。4月には入学式と新入生歓迎会で新年度がスタートし、夏には学校最大のイベントである苫工祭や夏季体育文化大会が開催されます。秋には生徒会役員選挙やマラソン大会、見学旅行があり、冬には冬季体育文化大会や卒業証書授与式で年度が締めくくられます。

著名な出身者

本校は、社会の様々な分野で活躍する多くの卒業生を輩出してきました。現代美術家の因藤壽氏、元参議院議員の加賀谷健氏、元大相撲力士の栗家山恵三氏、小説家の小檜山博氏といった文化・政治分野の人物をはじめ、元プロ野球選手の金子満夫氏や高沢秀昭氏、スピードスケート選手としてオリンピックに出場した鈴木惠一氏や内藤晋氏、アイスホッケー選手の野中絵美氏や、元プロアイスホッケー選手で監督も務めた村井忠寛氏、片山和人氏など、スポーツ分野で活躍する人材も多数います。他にもプロゴルファーの松田具視氏、EXILEのメンバーであるSHOKICHI氏、総合格闘家の宮下トモヤ氏など、多岐にわたる分野で多くの卒業生がそれぞれの道を切り拓いています。また、技能五輪世界大会で金メダルを獲得した伊東直輝氏も本校の出身です。

アクセス

学校へは、道南バスを利用し、「工業高校」停留所、または学生向け臨時便が停車する「工業高校前」停留所で下車するのが便利です。

北海道苫小牧工業高等学校