道南バス

道南バス株式会社：北海道のバス事業を支える歴史と現状

道南バス株式会社は、北海道室蘭市を拠点とし、胆振・日高・後志地方で路線バス事業を展開する大手バス会社です。1925年の室蘭乗合自動車設立を起源とし、戦時統合を経て、現在の道南バスへと発展してきました。本稿では、その歴史と現状、そして課題について詳しく解説します。

創業から戦時統合へ

道南バスのルーツは、1925年に室蘭で創業した室蘭自動車合資会社に遡ります。当時、自動車による旅客輸送は道路事情の悪さから困難を極めていましたが、創業者の徳中祐満らによって室蘭駅と輪西駅間で運行が開始されました。その後、タクシーや客馬車との競争、世界恐慌など幾多の困難を乗り越え、バス事業の需要拡大とともに経営は安定していきました。

太平洋戦争開戦後は、物資不足や路線規制の影響を受け、経営は再び厳しくなりました。しかし、1944年には政府の統合方針に基づき、胆振・日高地方のバス会社9社が合併し、「道南乗合自動車株式会社」が誕生しました。戦時下においても、人々の生活を支える重要な役割を担い続けました。

戦後復興と事業拡大

終戦後、老朽化した車両と劣悪な道路環境の中、運行を維持することに苦心しました。しかし、朝鮮戦争特需景気によって室蘭に活気が戻ると、バスの需要も高まり、経営は回復に向かいます。1952年には社名を現在の「道南バス株式会社」に変更し、路線バスに加え、観光貸切バスや長距離バス事業にも参入。大型車両を導入し、事業を積極的に拡大していきました。

経営不振と会社更生法適用

1960年代後半からは、モータリゼーションの進展や第一次産業の不振などにより経営が悪化。1970年には資金繰りが逼迫し、1975年には会社更生法の適用を申請する事態に陥りました。これは、社長による不正な資金運用が大きな原因の一つでした。

企業再建と新たな展開

会社更生法適用後、道南バスは徹底した企業再建に乗り出しました。室蘭市からの特別融資や株主構造の変化などを経て、経営は徐々に安定化。1977年の有珠山噴火という新たな困難にも迅速に対応し、事業を継続しました。「洞爺サマーランド」の売却など資産整理も進め、車両・路線の整備、コンピューター導入による業務合理化などを進めて経営の改善を図っていきました。

1980年代に入ると、高速道路網の整備を追い風に、都市間高速バス事業を積極的に展開。国鉄に対抗する価格設定と運行時間により、利用者を獲得し大きな成功を収めました。

苫小牧市営バス事業譲受と近年の動向

2012年には、経営難に陥っていた苫小牧市営バスの事業を譲受。その後も、燃料費高騰や運転手不足といった課題に直面しながらも、路線再編や運賃改定、新路線開設など、積極的に事業を改善しています。2023年には苫小牧市内線の運賃改定を実施し、2024年には路線再編の一環として、利用者の少ない路線の統合・廃止、新たな循環路線の開設、夜間便の増便などを実施しました。また、西胆振、日高地区においても、利用状況に応じた減便と増便を実施しています。

今後の課題

道南バスは、高齢化や人口減少、そして燃料費高騰などの課題に直面しています。これらの課題に対応するため、さらなる路線再編や効率的な運行体制の構築、そして新たな収益源の確保が求められています。

まとめ

道南バスは、創業以来、北海道の地域社会に貢献するバス会社として、様々な困難を乗り越えてきました。これからも、地域住民の生活を支え、安全で快適なバスサービスを提供していくことが期待されます。その歴史と現状、そして今後の課題を理解することで、道南バスの役割と重要性を再認識することができるでしょう。

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