北白川宮成久王

北白川宮成久王の生涯

北白川宮成久王（1887年4月18日 - 1923年4月1日）は、日本の皇族として知られ、陸軍大佐の階級を持つ。成久王は、北白川宮能久親王とその正妃富子の唯一の子として誕生し、8歳で北白川宮を継承した。彼の若年期は、厳しい皇族の家系に生まれながらも、活気あふれる学びの時代でもあった。1901年には、東京陸軍地方幼年学校に入校し、次第に周囲からその美しい容姿と人柄で親しまれるようになった。

陸軍における教育を受けた成久王は、陸軍士官学校や陸軍大学校を卒業し、陸軍砲兵大佐まで昇進。彼は公人としての責任を持ちながらも、1909年に明治天皇の第7皇女・周宮房子内親王と結婚し、家庭を持つこととなった。

早期の栄誉と公務

成久王は、1917年には大勲位菊花大綬章を受けるなど、その功績が認められ、名声を博した。さらに同年には、台湾を訪れ、先祖の地を巡るという特別な経験もした。この訪問は、彼にとって特別な意味を持つ旅であり、その後の人生においても大切な思い出となった。

フランス留学と自動車事故

1921年、成久王は「キタ伯爵」と名乗りフランスのサン・シール陸軍士官学校に留学。この留学中に自動車免許を取得し、自身の自家用車を手に入れるなど、彼の生活には新たな刺激が満ちあふれた。成久王夫妻は、「平民的」として親しまれ、フランス社交界でも高評価を得た。

1923年4月1日、成久王はフランスでのドライブを楽しむ最中、不運にも事故に遭遇する。彼は、スピードの出しすぎにより車両制御を失い、アカシアの木に衝突し、即死。助手席にいた運転手も亡くなり、後部座席の房子内親王や鳩彦王が重傷を負うという悲劇が起こった。この事件は、成久王の若さと才能がひょんなことから断たれるという痛ましいものであり、その影響は家族や周囲に深い悲しみをもたらした。

死後の葬儀と家族の絆

成久王の遺体はパリから日本に移送され、5月29日に神戸に到着。6月8日には豊島岡墓地にて、正式に葬儀が執り行われた。この葬儀には多くの人々が参列し、彼の人生とその成果を称えた。

成久王は、父・北白川宮能久親王、母・能久親王妃富子の子、またその妻・房子内親王との間には3人の息子・娘を授かり、特に長男の永久王はその後の家計を継ぐこととなった。家族は成久王の影響や教えを大切にし、その思い出を次の世代に伝えるべく努力した。

栄典と評価

成久王は、陸軍において優れた才能を発揮し、様々な栄典を手に入れた。明治40年に勲一等旭日桐花大綬章、1917年には大勲位菊花大綬章を受賞した。彼の公務に対する姿勢や、家庭に対する愛情は今なお評価され続けている。

成久王の人生は、短いながらも多彩な色彩を持ち、彼の存在は日本歴史において特別な名を刻んでいる。

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