北裏喜一郎

北裏 喜一郎（きたうら きいちろう）

北裏喜一郎は、1911年に和歌山県日高郡美浜町で生まれ、1985年に74歳でこの世を去った日本の実業家です。彼は野村証券の社長を務め、同社の国際化戦略を推進しました。彼のリーダーシップのもと、野村証券は成長を遂げ、証券業界において重要な地位を確立しました。

来歴と人物

喜一郎は、神戸高等商業学校の予科を修了した後、1933年に兵庫県立神戸高等商業学校を卒業し、その年に野村證券に入社しました。第二次世界大戦後、GHQ（連合国軍総司令部）の公職追放により当時の経営陣が辞任した際、彼は二階級特進し、1949年には取締役大阪支店支配人に就任します。

その後、本店支配人の職を経て、1952年には常務に昇進し、さらに1968年には社長に就任しました。この間、彼は瀬川美能留とともに会社の成長に大きく寄与しました。特に1970年代には証券不況の影響が深刻な中、彼は「今後は調査研究が必要である」との判断から、野村総合研究所の設立を決断しました。

1978年には若手に社長職を譲り、自らは会長に就任しました。喜一郎のリーダーシップは野村證券の発展に欠かせないものでした。

家族と後継者

北裏家には二人の息子と一人の娘がいます。長男の慎一郎は昭和電工に勤務し、その妻は丸善石油社長の三女です。二男の卓次は大阪商船三井船舶におり、妻は鳥取の老舗企業の社長の四女です。また、長女の量子は日本航空の名将である松尾静磨の二男に嫁ぎました。

このように、家族もそれぞれの分野で成功を収め、多様な企業の中で活躍しています。

著作

北裏喜一郎は経済人としての経験をもとに、著作を残しています。1981年には『私の履歴書 経済人18』という著書を発表し、多くの人々に彼の経歴とビジネス哲学を伝えました。これは日本経済新聞社から出版され、今でも多くのビジネスパーソンに影響を与え続けています。

まとめ

北裏喜一郎は、優れた実業家であり、日本の証券業界において特に重要な存在でした。彼の国際化戦略は今後の証券市場にも影響を与えています。経済の変化や新しい課題に常に適応しながら、彼はリーダーとしての道を歩み続け、その努力は今もなお多くの人々に尊敬されています。

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