北辰フーズ

北海道江別市に拠点を置く株式会社北辰フーズは、特色ある菓子類の製造・販売を手掛ける企業です。製薬会社として知られるロート製薬株式会社の完全子会社であり、その食関連事業の一翼を担っています。

同社の歴史は、1984年に夕張市農業協同組合（JA夕張市）からの特別な依頼に応じたことから始まります。この依頼は、夕張メロンを使用した高品質なゼリーの開発に関するものでした。北辰フーズはこれを受けて、完熟した夕張メロンの風味や、まるで本物の果実のような食感を再現したゼリーを開発し、「シャーベリアス夕張メロン」として市場に送り出しました。

この「シャーベリアス夕張メロン」は、それまでのゼリーの概念を超える高品質なフルーツゼリーとして、たちまち高い評価と消費者からの強い支持を獲得しました。現在に至るまで、これは北辰フーズの代表的な製品であり続けています。夕張メロンの風味を活かしたゼリー製品としては、「夕張メロンゼリー エスト」や「夕張メロン クプル」、「北海道産夕張メロンひとくちゼリー」など、様々なバリエーションを展開しています。また、夕張メロン以外の果物や北海道産の素材を用いたゼリー、さらには北海道レアチーズケーキや北海道プレミアムプリンといったデザート類も製造・販売しており、幅広い製品ポートフォリオを持っています。

北辰フーズの製品の品質は、使用する原材料に深く関わっています。特に主力製品である夕張メロンゼリーの製造には、主要な原材料であるメロン果汁をJA夕張市から直接供給を受けています。これにより、新鮮で風味豊かな夕張メロンの持ち味を最大限に引き出した製品づくりが可能となっています。高品質な素材へのこだわりと、長年培ってきた製造技術が、同社製品の高い評価につながっています。

転機となったのは、2013年12月です。大阪市に本社を置くロート製薬株式会社が、北辰フーズを完全子会社としました。ロート製薬は、目薬や胃腸薬といった一般用医薬品や化粧品分野で広く知られていますが、近年では従来の製薬会社の枠を超え、食分野への事業拡大も積極的に行っています。例えば、薬膳を取り入れたフレンチレストラン「旬穀旬菜」の運営なども手掛けています。北辰フーズの完全子会社化は、ロート製薬が推進する食分野における取り組みの一つとして位置づけられています。この連携により、ロート製薬の持つ技術や販売網と、北辰フーズの菓子製造技術や製品開発力が融合し、新たな価値創造を目指しています。実際に、両社の協力のもと、「JELLY&ME」のようなコラボレーション製品も生まれています。

株式会社北辰フーズは、北海道江別市に本社を構えるほか、東京都港区にも東京営業所を設けており、全国への販路拡大や事業展開を図っています。夕張メロンゼリーの開発から始まった同社の歴史は、高品質な製品づくりへのこだわりと、新たな親会社であるロート製薬との連携を通じて、今後も食の分野で独自の商品を提供し続けることでしょう。

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