北那珂村

茨城県西茨城郡に位置し、かつて存在した村、北那珂村（きたなかむら）について記述する。この村は、現在の茨城県桜川市の北部にあたる地域に存在した自治体であった。

地理

北那珂村がかつて占めていた地域は、現在の茨城県桜川市の北部、特に旧岩瀬町の北部に相当する。村域はその大部分が山地によって占められており、全体的に起伏の多い地形が広がっていた。村の中央部を西流する桜川の源流部を含む上流域にあたり、清流とその支流が山間部を縫うように流れていた。こうした地理的特徴から、耕地は限られ、山林資源が重要な地域であったと考えられる。

歴史

北那珂村は、明治時代初期に行われた大規模な行政改革である町村制の施行に伴い誕生した。具体的には、1889年（明治22年）4月1日に、周辺の複数の村々が合併して新たな自治体として発足したものである。合併の対象となったのは、南飯田村を中心とした地域の村々（南飯田村を含む）と、小塩村を中心とした地域の村々を合わせた、合計14の村であった。これらの村は、南飯田村、亀岡村、大月村、小塩村、平沢村、池亀村、坂本村、間中村、福崎村、山口村、入野村、中里村、富谷村、そして門毛村である。古くからの集落がまとまり、共同で新しい村を形成した形である。

村の行政を担う役場は、村域の中央部に位置する大字亀岡に置かれた。村名である「北那珂」は、当時の所属郡であった西那珂郡（後に西茨城郡に編入）の北部地域に位置していたことに由来するとされている。

成立から約66年を経た1955年（昭和30年）3月31日、北那珂村はその歴史に幕を閉じた。この日、北那珂村は同じ西茨城郡に属していた岩瀬町および東那珂村と合併し、新たな「岩瀬町」が発足したためである。この合併により、北那珂村は廃止され、自治体としての名称は消滅した。その後、新たな岩瀬町は、平成の大合併を経て、周辺自治体とともに現在の桜川市の一部となっている。

大字

北那珂村の村域は、発足時の合併元となった14の村々が、そのまま大字（おおあざ）として引き継がれる形で構成されていた。以下にその大字を挙げる。

亀岡（かめおか）
大月（おおつき）
小塩（こしお）
平沢（ひらさわ）
池亀（いけがめ）
坂本（さかもと）
間中（まなか）
福崎（ふくざき）
山口（やまぐち）
入野（いりの）
中里（なかざと）
富谷（とみや）
南飯田（みなみいいだ）
門毛（かどけ）

これらの大字名は、北那珂村の廃止後も現在の桜川市の一部として地名に引き継がれており、かつての村域を示す名残となっている。

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