西那珂郡

西那珂郡（にしなかぐん）について

西那珂郡は、かつて常陸国（現在の茨城県）に存在した郡です。その範囲は、現在の西茨城郡岩瀬町とほぼ一致し、大和村の一部や協和町の一部を含んでいました。この郡は、その成立から消滅、そして復活という複雑な歴史を辿っています。

中郡の成立

西那珂郡の歴史を語る上で、まず触れなければならないのが中郡（ちゅうぐん/なかぐん）の存在です。7世紀末から8世紀初頭にかけて、常陸国には多くの郡や郷が成立しましたが、律令制の動揺とともに、各地の豪族などによって細分化や再編成が進みました。その中で、新治郡から小栗御厨が伊勢神宮領として分離し、残った領域がさらに分割されて誕生したのが中郡でした。荘園化や荘園の衰退を経ても、中郡の名前は残り続けました。

西那珂郡の設置

中郡の範囲に、文禄年間に行われた太閤検地によって設置されたのが西那珂郡です。中郡は、以前から常陸国那珂郡（なかぐん）と読みが重複していたため、西中郡（にしなかぐん）と呼ばれることがあり、それが正式な名称になったとされています。

この郡の設置に関しては、新治郡分割の際に、中郡が那珂郡に飛び地として編入されたため、西那珂郡とされたという説もあります。

西那珂郡の消滅と復活

西那珂郡は、1702年（元禄15年）の検地によって、茨城郡に吸収され、一旦消滅しました。その後、しばらく西那珂郡の名前は歴史から姿を消していましたが、1889年の町村制施行時に自治体名として再び日の目を見ることとなりました。

まとめ

西那珂郡は、その歴史の中で、中郡からの分割、茨城郡への吸収、そして自治体としての復活という、複雑な変遷を経験しました。この地域は、古代から近世にかけて、様々な政治的、社会的な変化の影響を受けてきたことがわかります。西那珂郡の歴史は、常陸国、ひいては茨城県の歴史を理解する上で重要な要素の一つと言えるでしょう。

参考資料

政教新聞社 編『西茨城郡郷土史』政教新聞社、1928年。

関連項目

消滅した郡の一覧

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