北金ヶ沢のイチョウ

北金ヶ沢のイチョウ

北金ヶ沢のイチョウ（きたかねがさわのイチョウ）は、青森県西津軽郡深浦町に位置する巨木で、地域のシンボルとも言われています。正式な所在地は、深浦町北金ケ沢字塩見形356です。このイチョウは、日本海に面した深浦町の北部、北金ヶ沢地区の海岸から約200メートル内陸にある段丘崖の下に生育しており、その美しい姿が多くの訪問者を惹きつけています。

樹高は一般的には31メートルとされるものの、40メートルとしている資料も存在します。目通り幹周は22メートルで、環境省が行った2001年の調査では、イチョウの中で全国第1位の巨樹と認定されており、観光客や地元の人々には日本一のイチョウとして親しまれています。樹齢は一般的に1000年以上とされていますが、環境省は300年以上もしくはそれ以上として評価しています。樹形や樹勢も良好で、力強い生命力を感じさせます。

由来と信仰

このイチョウは神木として古くから崇拝されてきました。特に、下垂する気根が人間の乳房や鍾乳石に似ていることから、母乳の出が良くなるという言い伝えがあります。これがきっかけで、母乳の出が不安な女性たちの信仰の対象となり、「垂乳根の公孫樹」とも呼ばれるようになりました。昭和50年代までには、北海道や秋田県からも多くの女性たちが、自らの願いを込めて米や神酒を供え、この神木に祈りを捧げる光景が見られました。

このイチョウは、2003年7月2日に深浦町の巨樹・古木に指定され、翌年の2004年9月30日には国の天然記念物にも指定されました。更に、2012年からは毎年11月の上旬から下旬にかけて、イチョウが美しく黄葉する時期に「ビッグイエロー」として夜間のライトアップが行われています。これにより、訪れる人々は幻想的な雰囲気の中でイチョウを見ることができ、多くの観光客が集まっています。

アクセスと周辺情報

アクセスは、東日本旅客鉄道（JR東日本）五能線の北金ケ沢駅から徒歩約10分です。周辺には、 北金ヶ沢のイチョウから南東へ1キロメートル程の所に「折曽のイチョウ」と呼ばれる別の巨樹が存在し、関のイチョウや関の甕杉といった他の名木も近隣にあります。これらの巨樹もまた、深い歴史とともに地域の文化を支える重要な存在です。

北金ヶ沢のイチョウは著名な観光スポットとしてだけではなく、古くから地域の人々にとっても神聖な存在として、大切にされています。この美しい巨木を訪れることで、その存在感や力強い生命力を直接感じることができ、また、周辺も含めた自然の美しさも堪能できるでしょう。

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