北閉伊郡

北閉伊郡の概要

北閉伊郡（きたへいぐん）は、岩手県にかつて存在した行政区画であり、明治12年（1879年）に成立しました。この郡は、現在の下閉伊郡に位置する岩泉町、田野畑村、普代村の全域に相当します。その歴史は、幕末の陸奥国にまでさかのぼります。

郡域の歴史

北閉伊郡が成立するまでの過程は、陸奥国の領域として盛岡藩の支配を受けていた時代から始まります。幕末の時点では、郡域は盛岡藩領に属し、「旧高旧領取調帳」には当時の村名が記されています。当時の村は25村あり、明治初年時点では次の村が含まれていました：下有芸村、上有芸村、釜津田村、大川村、浅内村などです。

明治元年の分割により、北閉伊郡は陸中国の一部となり、盛岡藩の権限は失われました。その後、信濃松代藩の管轄下に入り、地域の変遷が始まりました。明治2年には江刺県が設置され、翌年には盛岡県が誕生しました。その後、盛岡県はさらに改名され、岩手県となります。

郡の発足と変遷

明治11年に郡区町村編制法が施行されると、岩手県において閉伊郡が正式に発足しました。翌年の明治12年に、閉伊郡が分割され、その中の23村を基に北閉伊郡が形成されました。郡役所は岩泉村に設立され、行政機能が整備されました。

1889年4月1日には町村制施行に伴い、複数の村が新たに発足しました。小本村、田野畑村、普代村、岩泉村など、それぞれの村は今の下閉伊郡の一部を成しています。「小本村」はいくつかの村が合併して形成され、「普代村」は単独村制を採用しました。これにより、地域の自治体がより明確になり、村ごとのアイデンティティが強化されました。

しかし、1897年4月1日には郡制が施行され、北閉伊郡は東閉伊郡と中閉伊郡と共に下閉伊郡に統合されることとなり、北閉伊郡はその歴史を終えます。この統合は地域の行政の効率化を目的としており、新しい行政区画への移行が進められました。

結論

北閉伊郡は、岩手県における歴史的な地域のひとつであり、地理的な変遷や行政的な移り変わりを経て、現在に至るまでの岩手県の地域発展に寄与してきました。消滅した郡としての歴史は、現在の下閉伊郡の形成に大きな影響を与え、地域の文化や社会にも深く根付いているのです。その遺産は、地域住民のアイデンティティや歴史認識の形成に寄与していると言えます。

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