十三粍手動銃

十三粍手動銃について

十三粍手動銃（じゅうさんミリメートルしゅどうじゅう）は、1935年に大日本帝国陸軍が試作した対戦車ライフルです。この銃は、当時使用されていた九二式車載十三粍機関砲の弾薬を活用し、直径は13.2mmの弾丸を発射する設計が施されました。しかし、完成したのは2門のみで、その後威力不足が明らかとなり、開発は早々に中止されることとなります。代わりに、対戦車に対処するためには、口径20mmの九七式自動砲が制式化されました。

開発経緯

昭和10年の6月、陸軍技術本部が提案したこの銃の開発は、当時の日本の陸軍歩兵部隊にとって深刻な課題であった、素早く接近する敵戦車への対策として必要とされました。当時の陸軍は20mm機関砲や37mm砲を装備していたものの、これらは敵の戦車に対して迅速に反応するための機動力に欠けていました。そこで、携帯可能な対戦車兵器の開発が検討されました。

候補として口径13mmの銃と20mmの砲が挙がり、研究が進む中で昭和10年8月には設計作業が開始され、同年12月には名古屋工廠で試製の十三粍手動銃が2門発注されました。開発時の目標として、装備は重量12kg未満、全長1500mm以内で、銃身長は900mmの70口径が設定されました。また、弾丸の初速は700m/sを目指しました。構造面では、三八式歩兵銃と似た形状を持ちながら、反動を緩和するための工夫がされています。具体的には、銃身が100mm後座し、復座ばねが圧縮されることで反動を吸収する仕組みです。

この設計により、肩当てでの射撃が可能となるように銃床が付けられ、さらに伏射の際には前脚が取り付けられています。銃の携行は一名で行えるよう、分解することなくできる設計も特徴の一部でした。弾倉には5発または10発入りの箱型弾倉が使用され、その弾薬は九二式車載重機関砲と共通の13.2mm弾です。

試験と中止

昭和11年3月には第一次試製品が完成し、同年には富津射場で射撃試験が実施されました。この試験では、射撃機能と命中精度が一定の評価を得ることができました。しかし、さらなる試験を通じて、威力面に関しては期待に応えられない結果が出てしまい、昭和12年1月には試験を再度実施しました。この段階での「威力不足」の判定が決定的となり、十三粍手動銃は開発中止となりました。

結論

このように、十三粍手動銃はその時代のニーズに対して革新的な申し出ではあったものの、実戦における期待を満たすには至りませんでした。試作の途中での開発中止は、技術的な限界や戦略的な判断に起因するものであり、陸軍はその後対戦車戦のために別の兵器の開発を進めることにしました。

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