十三重石塔

浮島十三重石塔の概要

浮島十三重石塔は、京都府宇治市の宇治川にある人工島、塔の島に位置する高さ約15.2メートルの石造層塔です。この塔は、日本に存在する石造の十三重塔の中で最大とされ、1953年には国の重要文化財に指定されました。浮島十三重石塔という名称は、他の同類の石塔と区別するためのもので、特にこの地域に根付いた歴史を持っています。

十三重石塔の特徴

この石塔は、石造の十三層から構成されており、各層のディテールや構造には古代の技術が反映されています。アジア圏には同様の構造を持つ石塔が多く見られますが、浮島十三重石塔はその規模と存在意義において特筆すべきものです。一部の観光情報では、この塔を「日本最古の石塔」と表記しているものもありますが、実際にはそれは誤解です。日本最古の石造層塔は、奈良時代前期に築かれた石塔寺三重塔であり、浮島十三重石塔は日本の石塔の歴史の中で重要な位置を占めています。

歴史的背景

この石塔が建立されたのは、鎌倉時代後期の弘安7年（1284年）です。著名な僧侶、叡尊が関与しており、彼は宇治橋の大規模な修造を行ったことでも知られています。橋の完成が近づくにつれて、叡尊は宇治川の中州に舟を模した形の島を作り、その中心に大塔を建てることを決定しました。この塔は、漁業の安全祈願や魚霊の供養を目的としていました。

当初の石塔は、たびたび宇治川の氾濫に直面し、倒れたり再建されたりしました。特に江戸時代後期の宝暦6年（1756年）には、大規模な氾濫により塔は壊滅的な被害を受け、それ以降は復興が試みられることはありませんでした。

復興と現在の状況

1905年に浮島十三重石塔の復興が発案され、1907年から発掘作業が始まりました。この作業によって残された材料から塔の再建が進められ、1908年には新たに笠石と相輪が制作されました。最終的には、元々の遺品が一部発見され、現在は興聖寺の庭に移設されています。

文化財としての意義

浮島十三重石塔は、1953年に国の重要文化財に指定された後、さらに2003年には塔内にあった納置品が京都府の指定有形文化財となりました。これにより、塔は歴史的・文化的重要性が強調され、保護活動が行われるようになりました。

主に平安時代から室町時代にかけての様々な歴史的資料が、この塔と周辺の放生院に保存されており、その価値は計り知れません。浮島十三重石塔は、京都を訪れる人々にとって、ただの観光地ではなく、日本の文化と歴史を感じることができる重要な遺構なのです。

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