十二糎二八連装噴進砲

十二糎二八連装噴進砲の概要と運用

概要

十二糎二八連装噴進砲（じゅうにせんちにじゅうはちれんそうふんしんほう）は、日本海軍が開発した多連装ロケットランチャーです。正式には噴進砲と呼ばれますが、実際にはロケットランチャーとしての機能を持っています。旧日本軍では、これが砲兵装備の一つとして扱われ、「砲」として分類されています。調査研究によれば、この兵器は正式な採用に至らず、正確には『試製十二糎二十八聯装噴進砲』と呼ばれています。

構造と機能

この噴進砲は、四式焼霰弾（ロサ弾）を発射するために設計されています。ロサ弾は、1.1秒間燃焼した後に飛翔し、5.5秒後もしくは8秒後に爆発して周囲に焼霰弾子を散乱させます。これにより、広範囲な攻撃が可能になるのですが、マリアナ沖海戦の戦訓を受けて急遽発射台が製作されました。発射台は、25mm3連装機銃の架台を流用し、射撃指揮装置には九五式機銃射撃指揮装置が使われています。

操作の難しさ

発射時には、砲員は防炎服を着用し、発射台から離れる必要があります。このため、発射後の再装填には2分から4分ほどかかります。この時間が長いため、対空砲としての運用には致命的な問題が生じました。実際、瑞鶴の乗組員の証言によると、一斉射撃を行うと高熱により砲身が変形し、隣接する砲と同時に撃つことができず、2発ずつしか発射できなかったとのことです。

改良と実用化

レイテ沖海戦後、噴進砲の構造は強化され、さらなる軽量化が図られました。新たに専用の四式射撃指揮装置と追尾装置が開発され、実用性が向上しました。この改良版は30連装架台として運用されましたが、最初の28連装についても運用が続けられました。

実戦での運用

実際の戦場では、レイテ沖海戦に参加した4隻の空母と伊勢型戦艦に搭載されました。ただし、効果的射程は1,500メートル程度であり、命中精度の問題から敵機の撃墜は難しかったため、威嚇目的の兵器として扱われることが多かったです。それでも、伊勢と日向では、急降下爆撃を回避するために有効に活用されました。

搭載された艦船

この兵器は、マリアナ沖海戦以降、多くの空母に搭載されました。レイテ沖海戦では、瑞鶴を始めとする数隻の空母にその搭載が確認されています。戦後の資料によると、瑞鳳や千歳には図示された搭載の記録が残っており、千代田も同様です。しかし、信濃は戦没の前に搭載されていなかった可能性もあると言われています。また、葛城に関しては、初めに記載されていた30連装架台の文献とは異なり、28連装だったという指摘もあるため注意が必要です。

関連資料と文献

この兵器に関する詳細な情報は、雑誌『丸スペシャルNo6 空母翔鶴・瑞鶴』や乾氏の著作、そのほかの書籍から得られます。また、アジア歴史資料センターでは戦闘詳報が公開されており、研究者によるさらなる情報も得られます。十二糎二八連装噴進砲は、当時の日本海軍の技術の一端を示す重要な兵器の一つであり、その運用方法や戦場での実績については今後も研究が続けられることでしょう。

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