十五年戦争

十五年戦争について

十五年戦争とは、日本が1931年9月18日の柳条湖事件を発端とし、1945年のポツダム宣言受諾までの約15年間にわたる一連の対外戦争を指します。これには満洲事変、日中戦争、そして太平洋戦争が含まれます。これに対し、中国では田中上奏文を元に「十四年抗戦」と呼ぶことが一般的です。

呼称の起源と展開

この「十五年戦争」という用語は、1956年に鶴見俊輔が彼の論文「知識人の戦争責任」の中で初めて用いたとされており、以降徐々に広まりました。昭和40年代に入ると、一部でこの用語の利用が増え、1980年代には江口圭一の影響を受けてさらに一般化しました。昭和50年代以降には、アジア・太平洋戦争という名称も頻繁に使われるようになりました。

戦争の段階

この戦争は、鶴見俊輔が提唱した三つの段階に分けることができます。第一段階は1931年の柳条湖事件に始まる満洲事変、第二段階は1937年の盧溝橋事件から発生する日中戦争、そして第三段階は1941年の真珠湾攻撃によって開始されるアジア・太平洋戦争です。 さらに、江口圭一は第一段階を狭義の満洲事変と華北分離の二つに分け、また広義の戦争の概念を定義しました。

歴史認識の相違

「十五年戦争」という名称は、日本の対外膨張戦略の一貫性を強調する歴史認識に基づいています。しかし、これに対してさまざまな反論も存在します。例えば、満洲事変から盧溝橋事件までの期間においては大きな軍事行動が見られなかったという指摘や、満洲事変自体がヴェルサイユ体制の終焉を意味するものであり、この一連の戦争を一つの連続した歴史の中に位置づけることには異議が唱えられています。また、戦争期間を13年11ヶ月としながらも15年と呼ぶことに対する異論も存在します。

さらに、林房雄はペリー来航から大東亜戦争までを日本の反撃と見なす「東亜百年戦争」という考え方を提唱し、本多勝一も日清戦争から太平洋戦争までを一つの戦争として捉え「50年戦争」と名付けました。江口圭一は、日露戦争から太平洋戦争前夜までをそれぞれ14年、12年、11年間に区分する提案もしています。

まとめ

このように、十五年戦争は単なる一連の戦争ではなく、複雑で多面的な歴史的背景を有しています。その振り返りは、今なお日本の歴史認識や対外政策に影響を及ぼしており、さまざまな視点からの議論が続けられています。

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