十四年式十糎榴弾砲

十四年式九糎榴弾砲（じゅうよねんしきじっせんちりゅうだんほう）

十四年式九糎榴弾砲は、大日本帝国陸軍がシベリア出兵の際に鹵獲した95mm軽榴弾砲を元に、昭和12年（1937年）に準制式として制定された砲です。この砲は、ロシア帝国軍が第一次世界大戦において、オーストリア＝ハンガリー帝国軍から鹵獲したシュコダ95 mm Model 1907/11山地榴弾砲を基にしています。

制定の背景

この榴弾砲は、シベリア出兵が完了した翌年、大正14年に遡る形で年式が付与されています。これは、鹵獲された砲が日本陸軍の一部となり、戦力としての重要性を増したためです。最初は、九一式十糎榴弾砲の配備が整うまでの暫定的な装備品として位置付けられていました。

特徴

十四年式九糎榴弾砲は、九一式に比べて散布界が左右の幅と距離の両方で約2倍広くなっているものの、弾道の特性においてはそれほど優れているとは言えません。しかし、山砲として設計されたため、俯角が8度と大きく、重量が非常に軽量なのが特徴です。この軽量性により、機動力が高く、様々な地形での運用が可能でした。

また、口径が95mmである点は、日本陸軍には類似のものが存在せず、鹵獲された弾薬の量に制約があったため、当時配備されていた九一式と共通して使用できる105mm弾薬を使用できる加工が施された十四年式十糎榴弾砲も同時に制定されました。ただし、強度に制約があり、三号装薬は使用できず、五号装薬以下での射撃となりました。そのため、射程が短くなり、使用する弾種は尖鋭弾のみと定められました。

関連項目

十四年式九糎榴弾砲は、日本の榴弾砲や山砲の中でも独特な存在です。シュコダ財閥が関与した背景や、M1907/11の影響を受けたことは、当時の兵器開発における国際的な交流を反映しています。また、大日本帝国陸軍の兵器一覧においても重要な位置を占めており、その運用や展開が密接に関連していました。

このようにして十四年式九糎榴弾砲は、戦争の時代における技術と戦術の変遷の中で、日本陸軍にとって重要な役割を果たした砲兵器の一つであるといえるでしょう。

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