十夜会

十夜会とは

十夜会（じゅうやえ）は、浄土宗の寺院を舞台とする特別な念仏の行事であり、通常十日間にわたって行われます。これには、陰暦の10月5日の夜から15日の朝までの期間、念仏を唱えるという伝統が含まれていますが、実際にはこの期間が短縮されることもあります。

歴史的背景

十夜会の由来は、仏教経典『無量寿経』の一節に基づいています。この記述には、十日十夜の念仏修行は、他方の仏国で千年の修行に勝るとされています。この教えが、十夜会の根本的な考え方を形成しています。一般的には、室町幕府の伊勢貞国がこの行事を初めて行ったとされています。特に、『真如堂縁起』によれば、彼は京都の真如堂で三日三夜の念仏を行って出家を試みたが、最終日に夢の中で僧からの告げを受けたことから出家を思いとどまったとされています。

その後、貞経の失脚を受けて貞国が家督を引き継ぎ、伊勢家は繁栄を遂げました。この霊夢を耳にした足利義教は、貞国に命じて三日三夜に続いて七日七夜の念仏を行わせたという伝承がありますが、この記述が具体的に事実であるかどうかには注意が必要です。十夜会としての形式が確立した後に追加された情報である可能性も示唆されています。

また、異なる文献では『伊勢系図』において、十夜会を始めたのは貞経であるとする記載も存在しています。

十夜会の浄土宗への広がり

浄土宗において十夜会が広まったきっかけは、1495年（明応4年）に遡ります。この年、鎌倉の光明寺の第9世住職である観誉祐崇が宮中で阿弥陀経の講義を行い、その際に後土御門天皇から正式に十夜会を行う勅許を得たことが大きな転機となりました。観誉祐崇は真如堂の僧侶と共に念仏を大声で唱え、光明寺でも十夜会を開催することとなりました。

1578年（天正6年）には、『天正本狂言』に「十夜帰り」と題された演目が登場し、少なくともこの時期には十夜会が一般に知られる行事となっていたことが確認されています。このように、十夜会は浄土宗の中で重要な行事として、時を経て現在に至るまで受け継がれてきました。行事の形態や信仰の特徴は状況に応じて変化していますが、念仏を通じて仏教の教えを実践するという基本的な目的は一貫しています。

結論

十夜会は、浄土宗における重要な行事としての役割を果たし続けています。信者たちが集まり、念仏を唱えることで、仏教の教えに浸り、精神的な成長を遂げるこの伝統的な行事は、時代を超えて多くの人々に影響を与えているのです。

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