十束尚宏

十束尚宏（とつか なおひろ）は、1960年東京都に生まれた日本の指揮者、作曲家です。桐朋学園大学音楽学部指揮科を卒業、同研究科を修了しており、指揮を森正、小澤征爾、秋山和慶、尾高忠明らに師事しました。在学中には「第17回民音指揮者コンクール」で第1位に入賞するなど、早くからその才能を発揮しています。

1982年にはタングルウッド音楽祭にフェローシップ・コンダクターとして参加し、クーセヴィツキー賞指揮大賞を受賞。1984年にはボストン交響楽団の副指揮者に就任し、同年、新日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会で日本デビューを果たしました。1989年以降は、日本各地の主要オーケストラで指揮を執り、NHK交響楽団では、1989年、1992年、1997年の定期演奏会で指揮をしています。また、群馬交響楽団正指揮者（1988年 - 1992年）、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団常任指揮者（1992年 - 1997年）、広島交響楽団音楽監督（1994年 - 1998年）を歴任しました。

2002年にはローム財団の奨学金を得てウィーン国立歌劇場で研鑽を積み、以降はウィーンに在住しています。近年では、2011年に大阪音楽大学ザ・カレッジ・オペラハウスでのベンジャミン・ブリテン作曲『ねじの回転』公演で指揮を担当し、同公演は第66回文化庁芸術祭大賞を受賞しました。2012年には新国立劇場の創作委嘱作品『夜叉が池』（原作：泉鏡花、作曲：香月修）の初演で指揮を担当するなど、オペラ分野でも高い評価を得ています。

海外では、王立ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団、ゾーリンゲン、ニュルンベルクの各歌劇場管弦楽団、リスボン・グルベンキアン管弦楽団などを指揮しています。1997年には、フランスの「ノルマンディーの10月」音楽祭に広島交響楽団と共に参加し、1999年にはスロベニアのマリボール・フィルハーモニー交響楽団に出演しています。近年では、フランス国立モンペリエ管弦楽団、フランス国立リル管弦楽団、ドイツ・ヘッセン州立劇場管弦楽団、ベルリン・コーミッシェ・オーパー、リル歌劇場などにも客演しています。

十束尚宏は、確かな指揮技術で作曲家からの信頼も厚く、現代音楽の初演を数多く手掛けており、その演奏は数多くの録音として残されています。また、アマチュア・オーケストラの指導にも熱心に取り組んでいます。作曲家としても活動しており、近年は自作曲を積極的に発表し、自らの指揮によってアマチュア・オーケストラなどで演奏されています。

主な作曲作品

2011年 『Zweischenspie』 フィルハーモニア・エテルナ
2011年 『Zu einer Geschichte』フィルハーモニア・エテルナ
2012年 『交響曲』市川交響楽団
2013年 『Overture (2009)』宝塚市交響楽団
2014年 『Apokalypse』フィルハーモニア・エテルナ
2015年 『Aufstieg zum Himmel』幻想フィルハーモニー管弦楽団
2015年 『Scherzo』フィルハーモニア・エテルナ
2016年 『Renaissance』フィルハーモニア・エテルナ
2017年 『Passion Christi』京都フィルハーモニー室内合奏団
2018年 『Aus dem Gilgamesch-Epos (ギルガメッシュ叙事詩)』幻想フィルハーモニー管弦楽団

インタビュー記事

サイトウ・キネン・フェスティバル松本でのオペラ公演(LANXESS)
京都大学交響楽団 第200回演奏会客演指揮者インタビュー

これらの情報から、十束尚宏は、指揮者としてだけでなく、作曲家としても才能を発揮していることがわかります。現代音楽の初演を多く手掛けるなど、その音楽性は幅広い層から支持されています。

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