尾高忠明

尾高忠明の生涯と音楽活動

尾高忠明は、1947年11月8日に神奈川県鎌倉市で生まれました。作曲家・指揮者である尾高尚忠の次男として、音楽一家の中で育ちました。兄は作曲家の尾高惇忠であり、妻はピアニストの尾高遵子です。親族には、法哲学、労働社会学、経済学などの分野で著名な学者や、実業家である渋沢栄一がいるという恵まれた環境で育ちました。

桐朋学園大学で斎藤秀雄に指揮を師事した後、民音指揮者コンクールで2位入賞を果たし、NHK交響楽団指揮研究員を経て、ウィーン国立音楽大学に留学しハンス・スワロフスキーに師事しました。NHK交響楽団との共演が多く、大河ドラマのテーマ曲の指揮も数多く担当しました。特に、曽祖父である渋沢栄一が主人公となった2021年の大河ドラマ『青天を衝け』のテーマ曲を指揮したことは特筆されます。また、30歳前後の頃にはNHKの番組『音楽の広場』にレギュラー出演し、その柔和な人柄とトークでクラシック音楽の普及にも貢献しました。

1974年から長年にわたり東京フィルハーモニー交響楽団の常任指揮者を務め、現在は桂冠指揮者の称号を得ています。1992年からは読売日本交響楽団の常任指揮者を6年間務め、現在は名誉客演指揮者です。1987年にBBCウェールズ交響楽団の首席指揮者に就任し、エルガー、ウォルトン、ブリテンなどのイギリス音楽を数多く手がけ、大英帝国勲章やエルガーメダルを受賞するなど、国際的な評価も確立しました。

国内外の主要なオーケストラへの客演も多く、ロンドン交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、BBC交響楽団、バーミンガム市交響楽団、バンベルク交響楽団、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団など、世界各地で活躍しています。

1998年からは、札幌交響楽団の常任指揮者、音楽監督を務め、現在は名誉音楽監督です。同楽団とは、ベートーヴェンの交響曲全曲やシベリウスの交響曲全曲を演奏し、その功績を称えられています。

その他、ブリテンのオペラ『ピーター・グライムズ』や『戦争レクイエム』などの大作を手がけました。2010年からはNHK交響楽団の正指揮者を務め、2012年には日中国交正常化40周年記念の中国公演を指揮しました。また、2010年から2014年までは新国立劇場オペラ監督も務めましたが、首の故障のためオーケストラピットに入ることなく任期を終えています。

2017年4月から大阪フィルハーモニー交響楽団のミュージック・アドヴァイザーを務め、翌2018年4月には同楽団の音楽監督に就任しました。
2021年からは「東京国際音楽コンクール＜指揮＞」の審査委員長を務めています。

主な経歴

1971年：NHK交響楽団を指揮してデビュー
1974年 - 1991年：東京フィルハーモニー交響楽団常任指揮者
1981年 - 1986年：札幌交響楽団正指揮者
1987年：BBCウェールズ交響楽団首席指揮者に就任
1992年 - 1998年：読売日本交響楽団常任指揮者
1995年：紀尾井シンフォニエッタ東京の首席指揮者
1998年 - 2015年：札幌交響楽団常任指揮者、音楽監督
2010年1月 - ：NHK交響楽団正指揮者
2010年 - 2014年：新国立劇場オペラ部門芸術監督
2018年4月 -：大阪フィルハーモニー交響楽団音楽監督

受賞歴

1991年：第23回サントリー音楽賞
1993年：ウェールズ大学より名誉博士号
1997年：大英帝国勲章（CBE）
1999年：エルガーメダル
2014年：北海道文化賞
2019年：第49回JXTG音楽賞
2019年：第70回NHK放送文化賞
2021年：旭日小綬章

社会的活動

文化庁文化審議会元委員

出演番組

音楽の好きな街（1984年、NHK）
* 世界・わが心の旅「ウィーン ベートーベンの心の音色」（2003年、NHK）

尾高忠明は、その卓越した音楽性と豊かな人間性で、国内外の多くの聴衆を魅了し続けています。

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