十条駅 (東京都)

十条駅

東京都北区上十条一丁目に所在する十条駅は、東日本旅客鉄道（JR東日本）が運営する鉄道駅です。駅番号はJA 14が付与されています。当駅は線路名称上は赤羽線に属していますが、旅客案内や列車の運行系統としては主に埼京線として機能しており、同線の一部として案内されています。また、特定都区市内制度における「東京都区内」の駅の一つに数えられています。

歴史

十条駅の歴史は古く、最初に駅が開設されたのは1905年（明治38年）6月10日のことでした。この初代十条駅は、日本鉄道によって設置された貨物専業の駅であり、主に東京砲兵工廠から発送・到着する貨物を取り扱う目的で開設されましたが、わずか1年も経たない1906年（明治39年）2月7日には廃止されました。

現在の十条駅に繋がる2代目の駅は、1910年（明治43年）11月1日に鉄道院の駅として開業しました。こちらは当初から旅客営業のみを行い、山手線に所属していました。その後、1949年（昭和24年）6月1日には日本国有鉄道が発足し、当駅もその管理下に置かれます。1960年（昭和35年）5月25日には荷物扱いが廃止され、純粋な旅客駅となりました。1972年（昭和47年）7月15日には線路名称上の所属が赤羽線に変更されます。そして、首都圏の新たな通勤路線として整備された埼京線の運行が1985年（昭和60年）9月30日に開始され、十条駅もその停車駅となりました。国鉄分割民営化に伴い、1987年（昭和62年）4月1日にはJR東日本の駅として引き継がれています。

駅設備の近代化も進み、1992年（平成4年）12月18日には自動改札機が導入されました。2001年（平成13年）11月18日にはICカード「Suica」の利用が可能となり、利便性が向上しています。長年にわたり運営されていたみどりの窓口は、2011年（平成23年）10月31日をもって営業を終了しました。また、駅およびその周辺の抜本的な改良を目指し、2020年（令和2年）3月3日には連続立体交差事業に着手しています。

駅構造

十条駅は地上に設置された駅で、線路を挟んで向かい合う相対式ホームが2面2線配置されています。改札口は駅の南北にそれぞれ設けられており、南改札にはお客さまサポートコールシステムが導入されているため、終日インターホンを通じた案内が行われます。各ホームを結ぶ連絡設備として跨線橋が設置されています。当駅の構造上の大きな特徴は、ホームの両端が公道である踏切に挟まれている点です。この踏切の存在は、後述する将来計画の背景ともなっています。

駅構内には、自動券売機や多機能券売機、指定席券売機、そして自動改札機といった旅客に必要な設備が整っています。ホーム上の設備としては、下りホームに待合室とトイレが設置されており、多機能トイレも併設されています。かつて改札脇にあったNewDaysは、駅構内の店舗跡地に移転し、2014年（平成26年）8月29日にリニューアルオープンしています。

利用状況

十条駅の利用状況を見ると、2023年度（令和5年度）における1日平均の乗車人員は33,362人です。この数値は、埼京線沿線に位置する駅のうち、他路線との乗り換え接続がない駅としては最も多い乗車人員となっています。過去の推移についても、1990年度（平成2年度）以降のデータが示されており、駅の利用状況の変動を把握することができます。

駅周辺

駅の周辺地域は、再開発と古くからの商店街が共存する活気あふれるエリアです。特に西口駅前では、第一種市街地再開発事業が都市計画決定されており、2021年（令和3年）3月には2024年（令和6年）の完成を目指す地上37階建ての超高層マンションの建設が着工するなど、大規模な変貌を遂げつつあります。

西口から北に伸びる十条銀座商店街は、約200軒もの多彩な店舗が軒を連ねる、東京都北区内で最大規模を誇る商店街です。食料品から日用品、衣料品まで揃い、地域住民だけでなく遠方からも多くの買い物客が訪れます。

学術機関も点在しており、駅の西方には帝京大学の板橋キャンパスをはじめ、帝京大学医学部附属病院、帝京中学校・高等学校など、帝京大学グループの主要施設が集積しています。また、南口から線路沿いに板橋方面へ向かうと、東京家政大学があります。

文化施設としては、駅の北東方面、十条駅と東十条駅のほぼ中間地点に、東京都内では浅草木馬館と並んで2館のみとなった大衆演劇専用の小劇場である篠原演芸場があり、長年にわたり多くの演劇ファンに親しまれています。

前述した通り、駅のホームは両端を公道の踏切に挟まれています。一方の踏切は十条銀座商店街と十条中央商店街（通称「演芸場通り」）を結ぶ生活道路に、もう一方は都道455号本郷赤羽線に面しています。これらの踏切は交通量が多いため慢性的に混雑しており、特に埼京線においては、列車の運行間隔や編成両数を増やす上での物理的な制約の一つとなっています。

駅前からは、国際興業バスによる路線バスが運行されており、王子駅や赤羽駅西口方面へのアクセスを提供しています。

連続立体交差事業（鉄道高架化）

十条駅周辺では、鉄道を高架化する連続立体交差事業の計画が進められています。この事業は、1976年（昭和51年）の東北新幹線開業に伴う通勤新線（現埼京線）の建設と、それに合わせた赤羽線の輸送力増強の必要性から始まりました。当初、北区が計画に同意するにあたり、1983年（昭和58年）9月28日には十条駅の地下化と赤羽駅の高架化が合意されていました。しかし、その後の計画見直しを経て、赤羽駅は全線が高架化された一方で、十条駅に関しては地下化から赤羽駅と同様の高架化へと計画が変更されました。

高架化実現に向けた手続きは着実に進行しており、2016年（平成28年）9月23日には高架建設を前提とした環境影響評価書案が、翌2017年（平成29年）2月21日にはそれに対する見解書が提出されました。さらに同年10月31日には環境影響評価書が東京都知事に提出されるなど、必要なステップを踏んでいます。そして、東京都は2020年（令和2年）3月3日、国土交通省から都市計画事業の認可を取得し、正式に事業に着手しました。この連続立体交差事業は、2030年度（令和12年度）の完成を目指しています。

工事は段階的に行われる予定です。まず東側に仮線を設置するための用地を確保し、そこに上り線を移設します。次に、元の地上上り線跡地に下り線の仮線を敷設し、その上で元の地上下り線跡地に単線の高架橋（下り線用）を建設します。最後に、下り仮線跡地（元の地上上り線跡地）に上り線の高架橋を設置するという方式が採用されています。

この事業が完成すれば、駅両端の踏切が解消され、道路交通の円滑化や地域の活性化に大きく寄与するとともに、将来的な鉄道の輸送力増強にも繋がることが期待されています。

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