千住郵便局電話事務室

千住郵便局電話事務室の詳細

千住郵便局電話事務室（せんじゅゆうびんきょくでんわじむしつ）は、東京都足立区に位置する歴史的な建築物であり、2002年からはNTT千住ビルとして利用されています。この建物は、著名な建築家山田守による設計で、旧千住郵便局電話事務室とも呼ばれています。

概要

千住郵便局電話事務室は、山田守設計の現存する数少ない建物の一つです。この建物は設計の初期段階において「ドイツ表現主義」の影響を受けており、独特な外観を持っています。そして、この設計図は東海大学湘南キャンパスの中央図書館内に重要文献として保管されています。内部は竣工時のまま、公共用の設備が整えられており、様々な機能を果たすための部屋が配されています。

千住中居町では、近年のマンション建設中に本建物に使われていたと思われる色つきタイルが発見され、その重要性が再認識されました。

沿革

1912年に当時の千住郵便局で特設電話交換業が始まり、その後1929年に現在の建物を竣工しました。これは逓信省技師である山田守によって設計されたもので、その後1930年には電話交換方式が自動式に変更されます。建物名も1932年には足立郵便局電話分室へと改称されました。南側のアーチ門は映画のロケ地として利用されたこともあります。

1995年には建て替え計画が持ち上がりましたが、建物の基礎が堅固で解体費用が高額となるため、その計画は頓挫しました。以降、NTT足立電話局として使用され、2002年に名称をNTT東日本千住ビルに変更しました。

特徴

昭和初期の流行であったスクラッチタイルは職人による手焼きであり、外観に独自の趣を与えています。設計図面はA1サイズが35枚に及び、「千住郵便局電話分室新築」として山田の印鑑が押印されています。建物はコの字型に配置され、全外壁及び貫通路壁面は曲面で続いてスクラッチタイルで覆われています。タイルは茶色で、長手方向に溝が付けられており、そのデザインにはアムステルダム派の影響が強く見受けられます。

また、山田が自身の家族に向けた手紙では、彼自身も「お世辞かもしれない」としながらも、著名な建築家たちからの称賛を記録しています。屋上に増築された部分は、山田の設計ではないとの説も存在します。

この建物は、2017年度にDOCOMOMO JAPANによって日本におけるモダン・ムーブメントの建築として選ばれ、その歴史的価値が再評価されました。

参考文献

• - 長谷川 嘉孝, 大宮司 勝弘, 岩岡 竜夫「千住郵便局電話事務室と他の山田守局舎建築の比較」『日本建築学会』2009年。
• - 山田守建築作品集刊行会編『山田守建築作品集』東海大学出版会、1967年。
• - その他、関連文献や資料が豊富に存在します。

もう一度検索