千光寺 (京都市)

千光寺（大悲閣）

千光寺は、京都市西京区嵐山にある黄檗宗系の単立寺院です。嵐山という山号を持ち、大悲閣千光寺とも呼ばれます。本尊は恵心僧都作と伝わる千手観音菩薩で、江戸時代の豪商、角倉了以の木像があることで知られています。

歴史

創建年代は不明ですが、元々は嵯峨清涼寺の近くにあり、後嵯峨天皇の祈願所でした。その後衰退しましたが、江戸時代初期の慶長19年（1614年）に角倉了以が、大堰川開削工事で亡くなった人々を弔うため、嵯峨の中院にあった千光寺を現在地に移転しました。当初は天台宗でしたが、文化5年（1808年）に黄檗宗に改宗しています。

明治維新の廃仏毀釈で一時衰退し、大悲閣以外の境内を失いましたが、徐々に本堂などを再建しました。しかし、1959年の伊勢湾台風で甚大な被害を受け、本堂や大悲閣の屋根が大きく損壊しました。その後、仮補修でしのいでいましたが、1978年に本堂は解体されました。その後、現在の仮本堂や仮庫裏が建てられましたが、小規模なプレハブ建築となっています。大悲閣も長らく仮補修の状態が続き、舞台造りの建物は金属ワイヤで支えられ、ワイヤを隠すために床下の木組み部分が白いシートで覆われ、欄干部分に出ることもできず、窓にはワイヤがX字に交差している状態が長く続きました。2012年に改修工事が行われ、大悲閣は元の姿を取り戻しました。

現在の大悲閣は、保津川の開削を計画した角倉了以と、その一族で塵劫記の著者の吉田光由にちなみ、そろばんや数学・理学向上の寺としても知られています。

境内

観音堂（大悲閣）

崖に建つ舞台造りの建物で、京都市街を一望できる絶景スポットです。椅子が置かれた縁側があり、無料で使える双眼鏡も設置されています。
仮本堂

かつての本堂に祀られていた仏像や角倉了以の像が安置されています。
庫裏
鐘楼

1人3回まで無料で鐘を撞くことができます。
茶処

お茶や団子などを楽しめます（営業時のみ）。

所在地

京都市西京区嵐山中尾下町62

渡月橋から大堰川（桂川）の右岸（南岸）を上流へ徒歩約1.2km。

隣接する星野リゾート「星のや京都」の送迎船は宿泊者専用のため、一般の参拝者は徒歩またはレンタサイクルを利用する必要があります。

その他

千光寺は、北森鴻の推理小説『裏（マイナー）京都ミステリー』の舞台にもなっています。小説では、千光寺が「貧乏寺」として描かれています。

外部リンク

大悲閣公式ホームページ
* 京都市観光文化情報システム

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