吉田光由

吉田光由

吉田光由（よしだ みつよし、慶長3年〈1598年〉 - 寛文12年11月21日〈1673年1月8日〉）は、江戸時代前期に活躍した和算家です。

人物・生涯

京都の豪商、角倉家の一族として生まれました。久庵と号し、外祖父は角倉了以にあたります。初期の和算家である毛利重能に師事し、その後、一族の角倉素庵のもとで中国の数学書『算法統宗』を研究しました。この研究をもとに、1627年（寛永4年）に著書『塵劫記』を出版しました。

『塵劫記』は、図を多用し、数学の基礎から応用までをわかりやすく解説した数学入門書として高く評価されました。当時の人々にとって数学を学ぶための模範的な書物となり、広く普及しました。また、兄と共に北嵯峨に角倉隧道を開いたことでも知られています。

晩年は失明し、75歳で亡くなりました。墓所は京都市右京区の二尊院にあります。

『塵劫記』について

『塵劫記』は、単なる数学書としてだけでなく、当時の社会や文化を反映する書物としても重要です。日常生活に密着した問題を多く取り上げ、庶民にも親しみやすい内容でした。そのため、多くの人々に読まれ、版を重ねました。また、数学的な知識だけでなく、読み書きや計算の基礎を学ぶための教科書としても利用されました。

内容は、算術の基礎から始まり、鶴亀算、旅人算、ねずみ算など、多彩な問題が収録されています。これらの問題は、現代の数学にも通じる考え方を含んでおり、数学的な思考力を養う上で非常に有益です。

著作

『新編塵功記大全』吉田長穀訂正、真部武助、1888年6月
『新編塵功記大全 新増頭書』吉田長穀訂正、岡本仙助、1888年6月
『新編塵劫記』 上巻・中巻・下巻、古典数学書院、1935年10月
『塵劫記』 塵劫記刊行三百五十年記念顕彰事業実行委員会 編、大阪教育図書、1977年5月
『塵劫記』大矢真一校注、岩波書店〈岩波文庫〉、1977年11月
『塵劫記 寛永11年小型4巻』勝見英一朗校注、研成社〈江戸初期和算選書 第1巻 3〉、1990年12月
『塵劫記 巻之一～四 上・下（寛永四年）、塵劫記 上・下（寛永十一年）、塵劫記（寛永十一年）、塵劫記 上・下（慶安五年）、新編塵劫記（寛文古版）、新板塵劫記（貞享三年）、萬寳塵劫記大全（正徳四年）、新編塵劫記頭書集成（明和八年）、増補頭書新編塵劫記 上・中・下、新編塵劫記備考集成』近世歴史資料研究会 編、科学書院〈近世歴史資料集成 第7期第10巻 日本科学技術古典籍資料 数学篇13〉、2016年3月

現代語訳

竹内均『地球物理学者竹内均の現代語版塵劫記』同文書院〈DBS cosmos library Science〉、1989年3月
佐藤健一『吉田光由の『塵劫記』 二十六条本の現代訳と変遷』研成社、1997年5月
和算研究所塵劫記委員会 編『現代語『塵劫記』』和算研究所、2000年7月
佐藤健一訳・校注『『塵劫記』初版本 影印、現代文字、そして現代語訳』研成社、2006年4月

関連項目

遺題継承

外部リンク

吉田光由 - コトバンク
『塵劫記』と吉田光由 - 日本数学会
* 江戸時代のベストセラー『塵劫記（じんこうき）』の著者・吉田光由について | 豊後高田市

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