千如寺

千如寺(せんにょじ)の紹介

千如寺は福岡県糸島市に位置する標高954.5メートルの雷山中腹にある真言宗大覚寺派の寺院です。通称は雷山寺、そして本尊には千手観音が祀られています。千如寺大悲王院とも称され、歴史と自然が融合した名所として非常に有名です。特に樹齢400年の大カエデがあることから、秋には美しい紅葉の名所として多くの参拝客が訪れます。

歴史

千如寺の歴史は古く、成務天皇の時代に遡るとされています。寺伝によれば、成務天皇48年（西暦178年）にインドの僧、清賀がこの地に到来し、寺を開いたと伝わっています。この伝承の背景には、聖武天皇の勅願道場としての位置づけもあり、国司によって伽藍が建立されたとの記録があります。ただし、江戸時代の歴史書『筑前国続風土記』では、聖武天皇の勅願によって清賀が寺を開いたとされています。

清賀上人は、建長7年（1255年）ころの文書でも「法持聖人」として記録されています。また、千如寺周辺にはかつて７つの寺院が存在し、それらを総称して「怡土七ヶ寺」と呼ばれていました。この中で、千如寺は多くの僧坊が存在し、盛況を極めていました。

鎌倉時代には伽藍が整備され、豪華な建物が立ち並んでいた姿が伝えられています。千如寺は戦国時代の長い混乱の中で荒廃しましたが、宝暦3年（1753年）には福岡藩主の黒田継高によって再興され、院号も大悲王院に改められました。大カエデはその記念として植樹されたとされています。

また、雷山の神社と共に神仏習合の文化を持っていた千如寺ですが、明治維新による神仏分離令によって多くの仏教的な要素が失われました。それでも、千如寺の文化や歴史において重要な位置を占める寺院として今尚多くの人々に支持されています。

境内

千如寺の境内には多くの重要な建物があります。仁王門をくぐると、本堂や七福神堂、聖天堂などがあり、本尊の大聖歓喜天が祀られています。また、観音堂には国指定の重要文化財である木造千手観音立像が安置されています。この観音像は「雷山の観音様」として親しまれ、神仏分離以前は仲之坊にあったものが移された歴史があります。

また、開山堂には重要文化財の木造清賀上人坐像があり、他にも護摩道場、宝物殿、書院、茶室などが設けられています。前庭には国指定の天然記念物に登録されている大カエデがあり、心字庭園には福岡県指定の天然記念物であるビャクシンもあります。

文化財

千如寺は数多くの文化財を保有しています。国の重要文化財には、木造千手観音立像や清賀上人坐像が指定されており、これらは鎌倉時代に遡る歴史的な作品です。また、大悲王院文書や木造二天王立像なども福岡県の指定文化財として保存されています。

さらに、境内の大カエデとビャクシンも天然記念物として保護されており、これらの自然も千如寺の魅力の一部となっています。

交通アクセス

千如寺へのアクセスは、JR筑前前原駅から糸島市のコミュニティバス雷山線に乗車し、「雷山観音前」で下車することが便利です。また、自家用車でのアクセスも良好で、西九州自動車道前原インターチェンジからは約8キロメートルの距離です。

千如寺は、信仰の場であるだけでなく、その歴史や文化、庭園の美しさから、多くの人に愛され、訪れられている素晴らしい場所です。

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